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グーグル、アドビに接近するアーム、モバイルインターネット向けコアを拡充

英国のアーム社が将来に渡ってIPを維持し拡張していくロードマップを示すとともに新しい応用分野についても触れ、着実に成長していくさまをARM Forum2009において見せつけた。11月10日に開かれたARM Forumでは700名近いエンジニアを集めた。この不況期を通過したのにもかかわらず、アームのプロセッサコアを搭載した半導体チップは累計150億個を超えていると同社上級バイスプレジデントのイアン・ドリュー氏は述べた。

Mobile Client of 2010


モバイルインターネットの時代がやってきていることで、アームはグーグルやアドビとの距離を詰めてきている。グーグルの提案しているソフトウエアプラットフォームのアンドロイド(OSはリナックス)ははじめからアームのプロセッサコアを対象としており、クロムOSもアームのプロセッサIPをベースにサードパーティとの新しいパートナーシップを組むようになってくるとみている。アームのプロセッサコアやグラフィックスコアMaliなどにはアドビのフラッシュプレーヤー10を組み込む方向だ。モバイルインターネットでビデオをいつでもどこでも見られるようにしておこうというわけだ。

例えば、2010年のモバイルクライアント(スマートフォンを想定か)には、フラッシュ10が載り、ウェッブ2.0のコンテンツを閲覧できるようになる。それだけではなく、OpenGL ES 2.0でグラフィックスを設計、ゲームや音楽、ビデオなどを楽しむツールとなるという。アプリケーションプロセッサにはCortex-A9デュアルコアやMali-400MPグラフィックスマルチコア、32nmプロセス技術などを使う。

イアン・ドリュー氏は「プロセッサはもはやアーキテクチャで争う時代ではない。むしろビジネスモデルで争う時代だ」とし、サーバーやデスクトップパソコンやノートパソコンと、携帯電話やスマートフォン、スマートブックとはすみわけがはっきりしてきたという。いつでもどこでも誰とでも何でもインターネットでつながる時代にはモバイルデバイスを意識しておく必要がある。来年から2014年にかけて「200ドル未満デバイス」が伸びてくるとみる。この「200ドル未満デバイス」とは、例えば教育目的で作られる携帯機器で、特別教育として低価格で提供されるもの、とドリュー氏は定義している。


Mobile Internet


そういったインターネットデバイスに共通するのは、通信モデムを内蔵していることはいうまでもなく、消費電力が低くすべて冷却用ファンのないことだ。しかもスマートフォンでもデスクトップパソコンでも同じコンテンツを見ることができるとする。

こういったモバイルインターネットを実現するプロセッサコアとして携帯電話からスマートフォン、スマートブック、ノートパソコンと一連の機器スペクトラムに対して、ローエンドから順に、発表されたばかりのCortex-A5マルチコア、Cortex-A8、Cortex-A9マルチコアと対応していく。


Extrene Application Spectrum


アームのプロセッサで最もハイエンドなCortex-A9はスマートフォンからデジタルテレビまでをカバーし5億個/年のビジネスの可能性を持ち、高機能携帯のARM11並みの性能とARM9並みの消費電力をもつCortex-A5は10億個/年、低価格・低消費電力のCortex-M0は100億個/年のポテンシャルを持つとみている。


Cortex-A4: Performance, Area, Power


2009年におけるCortex-A9の性能は、2種類のバージョンを持ち、速度を最適化したバージョンは2GHz、10,000DMIPS、1.9W、面積6.7mm2という特性を持つ。消費電力の削減を最適化したバージョンは、800MHz、4,000DMIPS、0.5W、4.9mm2という性能が得られる。アームはCortex-A9のフィジカルIPまで用意しており、ハードマクロのデュアルコアCortex-A9 40G、Osprey製品がある。これは40nmプロセスで作製するものだが、32nmの低消費電力プロセスでも開発中である。

(2009/11/16)

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