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ナショセミ、携帯オーディオ機器向けにD級アンプを搭載したチップを2種発売

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パワーマネジメントチップに強い米National Semiconductor社が、効率が高く消費電力の低いD級アンプを携帯機器にも適用するようになった。このほど、高機能版とローコスト版の2種類を同時に発売した。いずれのチップもシステムレベルから消費電力削減を考えるPowerWise技術を使っている。実際の回路に組んだチップでスピーカー、イヤフォンを駆動しデモンストレーションした。

高機能版のLM49352オーディオアンプICでは、スピーカー用のD級アンプに加え、イヤフォン用のAB級アンプも集積する。さらに、ステレオ用デルタシグマA-DコンバータだけではなくD-Aコンバータも集積し、さらに消費電力を制御するためのパワーマネジメントおよびコントローラも搭載している。消費電力のやや大きなAB級アンプも搭載したのは、イヤフォン出力では高音質が要求されるからである。これに対してD級アンプは音質がAB級よりも落ちるが効率は高い(出力970mW時に93%)ため消費電力が小さい。大きな電流を駆動するラウドスピーカー駆動にはD級を使う。


LM49352
LM49352


デジタル入力用のインターフェースはマイコンなどからのコントロール用のI2Cと、デジタル音源からの入力用にI2SあるいはPCMインターフェースを持つ。デジタル音源からステレオDACを通るパスでは、S/N比は103dBと高く、デルタシグマ変調の分解能は24ビット相当、サンプリング周波数は48kHz。

ヘッドフォンアンプの性能は、全高調波歪とノイズ(THD+N)レベルが1%以下の時に32オームの負荷インピーダンスで65mWである。このときの電源電圧は2.8V。またラウドスピーカーを使うときの性能は、4.2V電源でTHD+Nが1%以下の条件で8オームのスピーカーで970mWの音量出力を出す。D級アンプにはスペクトル拡散技術を使いノイズ(EMI)の放射を抑えている。3.3mm角のBGAパッケージで供給され、そのバンプの数は36個。

ローコスト版のLM49151にもD級アンプとAB級アンプを搭載しているが、パワーマネジメント・コントローラは搭載していない。高機能版と比べ、機能をアンプに絞り、回路を簡素化した。強い信号が入力されると波形が歪みがちになるのを防ぐため、自動レベルコントロール(ALC)回路を入れている。これによって、振幅の大きな波形が入ると自動的にレベルを下げクリップを防いでいる。


LM49151
LM49151


機能を簡素にしているとはいえ、D級アンプにはスペクトル拡散技術を使ってEMIを抑えている。ヘッドフォンアンプの性能は、全高調波歪とノイズ(THD+N)レベルが1%以下の時に32オームの負荷インピーダンスで42mWである。このときの電源電圧は3.3V。またラウドスピーカーを使うときの性能は、5V電源でTHD+Nが1%以下の条件で8オームのスピーカーで520mWの音量出力を出す。ただし、モノラル出力接続にすると、同じ電圧条件で1.25Wになるとしている。

単価は1000個購入時で、LM49352が7.55ドル、LM49151は1.6ドル。評価ボードも入手可能。


(2009/04/30 セミコンポータル編集室)

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