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USB-Cを給電するマイコン製品ポートフォリオをInfineonが拡大

USB-Cのパワーデリバリー(給電)を利用して急速充電を可能にする高耐圧(最大28V)のMCU(マイコン)である「PMG1ファミリー」をInfineon Technologiesが拡大した。スマホだけではなく、電動工具、AIスピーカー、電気カミソリなどの急速充電も可能になり、USB-Cのパワーデリバリー機能は拡大が期待されている(図1)。

クラス最高完全なるUSB-Cシステム、ソリューション / Infineon Technologies

図1 用途が拡大するUSB-Cの汎用コネクタ 出典:Infineon Technologies


USB-C(USBコネクタのType-C)は、Lightningコネクタのように差込口を上下逆にしても接続できるという対称性を持つこれからのコネクタ。すでにパソコンやスマートフォン、さらには車載用のUSBコネクタなどに使われているが、最大の特長は対称性に加えて給電システム(パワーデリバリー)が進化することである。急速充電のための高電圧化などのロードマップが描かれている。

ただし、USB-C規格はハードウエアのコネクタさえ作ればよいという訳ではない。パソコンに必要なインターフェースだけではなく、スマホやその他の家電製品などさまざまな用途に対応するため、システムレベルでの機能を制御する必要があり、MCU(マイコン)などのフレキシブルICや、ゲートドライバ、高電圧レギュレータなどの回路や部品もボードに搭載する必要がある。つまり、USB-Cインターフェース回路を作るためにはマイコンが必要となる。しかもセキュアなオンチップの保護が必要となる。

そこで、さまざまな用途に使えるようにするためInfineonは、MCUコアとなるArm Cortex-M0/M0+を集積したUSB-CマイコンPMG1ファミリーを発売した。ここにUSB-Cのパワーデリバリー機能のソフトウエアスタックを組み込んでいる。このスタックは市場で実績があり、USB-IF認証も取得したもの。このマイコンには高電圧(最大28V)のレギュレータやMOSFETドライバなどの高電圧回路、過電圧・過電流保護回路に加え、ファームウエアのアップデートを可能にするベクトル演算ユニットおよびハードウエア暗号化エンジンを集積している。

PMG1マイコンファミリーの製品群を図2に示すように、15ピン以下の少ない端子から55ピン以上の多ピンに至る5種類の製品が用意されている。


PMG1 ポートフォリオ / Infineon Technologies

図2 PMG1マイコンの製品ポートフォリオ 出典:Infineon Technologies


少ピンのPMG1-S0/S1/S2(図2の紫の製品群)は、Arm Cortex-M0のCPUコアを使い、64KB〜128KBのフラッシュメモリ、8KB~12KBのSRAMを集積し、PDシステム用の高電圧FETやゲートドライバ、LDO、充電検出など給電回路と、プログラマブルなアナログおよびデジタル回路を集積している。そしてハードウエア暗号化回路としてAES(Advanced Encryption Standard)やSHA(Secure Hash Algorithm)2、CRC(Cyclic Redundancy Check)、TRNG(真性乱数発生器)も集積している。この製品群は量産に入っている。

多ピンのPMG1-S3製品(図2の薄緑の製品群)はArm Cortex-M0+をCPUコアとして、256KBのフラッシュメモリや、32KBのSRAM、デュアルのPDポート回路を集積、プログラマブルなアナログやデジタル回路に静電容量型タッチセンサ向けのCAPSENSE回路も集積している。ハードウエア暗号化回路なども備えている。こちらは2021年第2四半期にサンプル出荷を始めたところで、量産は第4四半期になる予定だ。

これらのマイコン開発環境である「Modus Toolbox」は、IDE(統合開発環境)とSDK(ソフトウエア開発キット)を含む。デバイスリソースとミドルウエアライブラリを有効に構成すると、デバイスをプログラムしたりデバックしたりできる。ユーザーがシステムを差別化するための設定をプログラムできる。

これまでの小型パワー工具用途などから今後は車載向けのPDシステムも出てくるようになりそうだ。

(2021/09/08)

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