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TI、GaN-on-Si技術でドライバと保護回路を集積したパワーICを製品化

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Texas Instrumentsは、ドレイン-ソース耐圧600V/650VのGaN HEMTパワートランジスタにドライバ回路や保護回路を集積した製品を発売した(参考資料1)。電気自動車(EV)のオンボードチャージャーやDC-DCコンバータに使えば従来のボードよりも50%サイズを小さくできるとしている(図1)。ただし、インバータを動かすような大電力用途ではない。

図1 GaNパワー製品のオンボードチャージャーやDC-DCコンバータなどへの搭載を狙う 出典:Texas Instruments

図1 GaNパワー製品のオンボードチャージャーやDC-DCコンバータなどへの搭載を狙う 出典:Texas Instruments


新製品「LMG3525R030」は、GaN HEMTパワーパワートランジスタに、ドライバ回路や過電流や加熱を防ぐための保護回路を集積している。いわばGaN on Si技術を使っている。温度センサやゲートを駆動するためのドライバ段回路をシリコン部が担当し、GaNパワートランジスタ部分とは分離しているという。パワートランジスタとドライバアンプ・保護回路とは、Co-package(一つのパッケージ)に入れている、と同社高電圧パワー部門GaN製品マネージャーのSteve Tom氏(図2)は述べている。パワートランジスタの特性は、最も低いオン抵抗が30mΩで耐圧650Vの製品である。パッケージは、12×12mmのQFN。最大4kWの電力を扱える。


図2 Texas Instruments社高電圧パワー部門GaN製品マネージャーのSteve Tom氏

図2 Texas Instruments社高電圧パワー部門GaN製品マネージャーのSteve Tom氏


GaNトランジスタは入力と出力の内部キャパシタンスが小さくなるため高速スイッチングができる。このため、電源回路でのコイルLやキャパシタ(コンデンサ)Cを小さくできるというメリットがある。スイッチング損失と導電損失、逆回復の損失などが小さいため、DC-DCコンバータやAC-DCコンバータ、力率改善回路などの電力効率を上げることができる。最大99%が可能だという。

このGaN-ICは、クルマ用だけではなく、5G通信基地局のサーバーやデータセンターなどの電源にも使えるとして、AC-DCコンバータのPFC(力率改善回路)や高圧コンバータなどに使っても効率は99%だという。評価ボードも充実しており、この製品を搭載したドーターカードLMG3525EVM-042には、650V、30mΩのGaN HEMT2個で構成されたハーフブリッジに加え、パワートランジスタに印加するバイアス回路やロジック/電源レベルシフト回路も搭載している。

ただし量産品は600VのGaN HEMT製品4種類で、1000個受注時の単価は8.34ドルから14.68ドルまで。それぞれの評価ボードは全て199ドル。GaNパワートランジスタの普及を加速させそうだ。

参考資料
1. 車載機器向けに、ドライバ、保護回路や能動的な電力管理機能を集積した業界初のGaN FET製品ポートフォリオを発表

(2020/11/17)

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