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ET & IoT Technology 2019(2)〜IoTネットワークでBluetoothの応用広がる

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ET & IoT Technology 2019展では、IoTデバイスをつなぐBluetoothも活用されている。Bluetoothビーコンはアンテナを活用することで位置精度が上がり、Bluetooth Mesh規格が確立したことで応用が広がった。加えて、Bluetoothのソフトウエア開発ツールも充実してきており、プログラムによる独自仕様のしやすさが普及を後押しする。

Bluetoothは、スマートフォンとつなぐという特長がこれまでフォーカスされてきたが、Bluetooth Meshは親機も子機もない1対多の通信が可能としてビルディングなどで活用されやすくなってきた。ここではSilicon LaboratoriesとON Semiconductorの例を紹介しよう。

Bluetoothによる位置検出の精度を上げたSilicon Laboratories

Si Labsは、Bluetoothを中心にスマホと接続したり、IoTデバイス同士をつないだりするような近距離無線通信に力を入れている。Bluetoothだけではなく、ZigBeeやThreadなどのメッシュネットワークのプロトコルにも対応するようなICチップをはじめ、電波の通りやすいサブGHz通信も含めたIC、あるいはサブGHz帯のZ-Wave通信用ICなど提供する。応用例として、LED電球のオンオフや明るさを調整できる(図1)。


図1 Bluetooth無線機を入れた電球やスマートスピーカーをSi Labsが展示 電灯以外にもコンセント内にBluetoothモジュールを入れてどのような電子機器もスマホから制御できるようにした例もある

図1 Bluetooth無線機を入れた電球やスマートスピーカーをSi Labsが展示 電灯以外にもコンセント内にBluetoothモジュールを入れてどのような電子機器もスマホから制御できるようにした例もある


Bluetoothを使う場合、どのような情報をつなげるのかコマンド制御やセンシングするためのスマホのアプリなどソフトウエア開発が必要である。マイコンのプログラム開発ツールであるSimplicity Studioの中にあるXpressコンフィギュレータを使うことで、Xpress BGX13モジュールで設定可能なパラメータのテストや通信などを行うことができる。このXpress BGX13モジュールを搭載した評価ボードも用意した。BGX13モジュールはそのままでも使えるため、無線技術が苦手なユーザーでさえ、スマホ用のアプリをインストールして、パソコンをつなげればすぐにでも設定できる。

Bluetoothの面白い例として、Bluetoothビーコンを使った位置検出がある。特に地下街や屋内では、衛星からのGPSやGNSSの信号を受けられないため位置を検出できないが、屋内に設置したBluetooth発信機の電波の向きと設置場所から、Bluetooth受信機(例えばスマホ)の位置を検出できる。ここでは、例えば地下街でBluetooth発信機を特定の位置に数カ所設置する。スマホを持った人が通ると、2カ所からの電波の到達した角度を検知してその人の位置がわかるというもの。電波の角度は±2.5度くらいの精度だという。4×4のアンテナアレイを使い、受信した電波の位相から電波が飛んできた角度を検出する。倉庫内などで製品やアセットの追跡や部品の位置を特定する用途が考えられている。

Bluetooth MeshでLED電灯を制御するON Semiconductor

On Semiは、Bluetooth LE(Low Energy)のメッシュネットワークを実現するBluetooth Meshの実例を展示した。Bluetooth Meshは1対多の通信方式で、従来のBluetoothは最大8台までしかIoTデバイスをBluetoothで接続できなかった。Meshネットワークだと実質的に無制限だが、展示会で多数のIoTを作る訳にもいかず、今回は3台のLED電灯を用いた(図2)。電灯にそれぞれBluetoothモジュールを接続し、それらをスマートフォンのアプリから制御する。メッシュネットワークでは、IoTデバイス(LED電灯)からIoTデバイスへと転送される方式で、スマホから全てのIoTデバイスのオンオフを制御できる。


図2 デモで用いたLEDランプとBluetooth Meshモジュール

図2 デモで用いたLEDランプとBluetooth Meshモジュール


今回のデモでは、3台のLEDライトしかBluetoothで接続しなかったが、電灯では1階、2階といった数階のオフィス全体にLEDライトを設置する場合は、1階と2階や3階のライトをそれぞれ制御する場合もBluetooth Meshが使える。階ごとにグループ1、2、3と分け、それぞれのグループやライトごとに制御できるという。各階ごとにリレーを使い、各LEDのデータを取得することもできる。Bluetoothのソフトウエアスタックは、ON Semi側が標準として定めた機能を搭載したスタックを無料で提供する。

Bluetooth以外でON Semiが得意な製品として車載用CMOSイメージセンサがある。クルマ市場では今のところトップの地位を占めているが、今後はマシンビジョンやロボットの眼、IPカメラなどへの応用が広がる。4M画素で120fpsと高速のRGBイメージセンサを搭載したボードも展示しており、ここにAIで人を識別するためのNvidiaのGPUボード、Jetson TX2やNanoを搭載している。工場の自動化やマシンビジョンなどへの応用を狙う。1M画素のクルマ応用では、高速走行での画面の歪みを除去するためのグローバルシャッタ機能を付けたカメラモジュールとそれを搭載したFPGA(Zynq)画像処理ボードも展示した。

参考資料
1. ET & IoT Technology 2019(1)〜クルマの仮想化時代が来る (2019/12/03)

(2019/12/04)

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