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Intel、エッジからクラウドまでAI製品ポートフォリオを提供

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AI(人工知能)は一時的なブームではない。企業の悩み、社会問題、医療・政府・インフラなど社会の問題を解決するための手段となりつつある。Intelの日本法人のアジアパシフィック・ジャパン担当HPCディレクターである根岸史季氏(図1)は「今やAI(人工知能)は現実的な課題を解くためのツールとして使われるようになってきた」と述べている。Intelがこのほど明らかにしたAI戦略を紹介する。

図1 インテル社アジアパシフィック・ジャパン担当HPCディレクター、根岸史季氏

図1 インテル社アジアパシフィック・ジャパン担当HPCディレクター、根岸史季氏


技術的には、現在のAIは学習(training)と推論(inference)にきっちり分かれているが、2022年にはその境界が薄れ、学習と推論を交互に行うようになるだろうと、根岸氏は予想する。AIと言っても現在、開発が進むのは機械学習やディープラーニングが主体で、ディープラーニングの演算には積和演算回路(MAC)が必要で、そのための半導体には、ソフトウエアで行うCPU、決まった並列演算が得意なGPU、専用回路を自由に作れるFPGAなどと実際にはどれでも構わない。ディープラーニング用の汎用チップは存在しない。

それでもIntelは、汎用のソリューションを目指している。例えば今のところは推論に向いたXeonプロセッサを何個でも並列につなげて大規模化が図れるようにスケーラブルなプロセッサのアーキテクチャを設計している。Xeonの中にニューラルネットワークの積和演算(MAC)専用回路を集積し、それを動かすための命令であるVNNI(Vector Neural Network Instruction)を設けたXeon Platinum 8180(開発コード名Skylake)を2018年7月に発表した。このIntel DL(Deep Learning)Boost機能により、性能はそれを使わない1年前のXeonプロセッサと比べてINT8(8ビット単位の整数演算)で5.4倍も高速になった。現在開発中のXeonスケーラブルプロセッサCascade Lakeだと、同11倍の高速化を目指す(図2)。


インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー / AIの基盤

図2 XeonプロセッサCascade Lakeは2017年7月のXeonの11倍のAI性能を示すという


2018年第4四半期に出荷予定のCascade Lake(プロセスは14nmFinFET)は、3D-Xpointメモリ技術を使ったOptane DCパーシステントメモリを組み合わせて使う。これからのロードマップも描いており、2019年以降にはbfloat16(16ビット単位の浮動小数点演算)を使うNervana NNP (Neural Network Processor) L-1000、さらにCooper Lakeを予定しており、その先には10nmプロセスによるIce Lakeを計画している。消費電力を減らし性能を高めるために、8ビット演算のINT8、さらに精度アップに16ビット浮動小数点演算を考慮したbfloat16でディープラーニング演算性能を高めていく。実運用面でのAI性能を目的にプロセッサを設計している。

Intelが狙う学習と推論を行ったり来たりするためには、学習で使うディープラーニング向けのフレークワーク(TensorFlowやCaffe2など)をIntelのチップで実現させなければならない。そのためには、フォーマットの変換が必要となる。半導体チップは一般にHDLなどの言語でプログラムしてRTLフォーマットで表現するが、学習させるフォーマットとは形式が違う。このため、コンパイラが必要で、IntelはnGRAPHコンパイラも用意している(図3)。


ソフトウェアとデータが要

図3 ディープラーニングのフレームワークをLSI設計形式に変換するコンパイラnGRAPHを用意


Intelはコンパイラを持つことでさまざまなAI推論チップを開発しやすくなった。また、このコンパイラがあれば、Intelのどのプロセッサにも対応できるようになり、エッジからデータセンターまでエンドツーエンドのソリューションを揃えることができる。またシステムとして高速性能を上げる場合にはプロセッサの数を増やすことで対応できるような拡張性を持たせている。

AIはIntelのプロセッサがあれば設計できるという訳ではない。AI開発のライフサイクルには、前処理、学習、後処理が必要であり、特に前処理と後処理が人の手が介在する。例えば猫の絵を学習させる場合、絵の中のどれが猫であるのかを指定しなければならない。猫の姿だけを紐づけすることで初めて猫を学習できる。こういった人手を介する作業をオープンなソフトウエアを使って外部に依頼することができるが、そのためにはエコシステム、パートナーシップが欠かせない。IntelもAI Academy & AI DevCloudという大学での教育に関与したり、ソフトウエア開発者を集めるイベントAI Developers Conferenceを開催したりすることでパートナーを集めている。

AIは、この先数十年を見据えて、社会問題や医療健康問題、重厚長大産業の生産性向上などありとあらゆる問題や、これまであきらめていた難題を解くための基本技術となりつつある。

(2018/10/01)

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