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Intel、CPU・FPGA・専用ASICのヘテロコンピューティングを推進

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Intelが一昨年Alteraを買収、傘下に組み込んだ後、初めてともいえるCPUとFPGAのコラボレーションについて明らかにした。Intelはデータカンパニーになることを標ぼうしており、コンピューティングを加速する6つの成長分野を定め、それらに対応できるソリューションとして、CPUとASIC、FPGAからなる汎用のヘテロジニアスコンピューティングアーキテクチャ(図1)を提案した。

図1 Intelが推進するFPGA利用のヘテロジニアスコンピューティング

図1 Intelが推進するFPGA利用のヘテロジニアスコンピューティング


Intelが決めた6つの成長分野とは、1)5Gワイヤレス、2)レーダーおよび航空宇宙、3)ネットワーク、4)クラウドコンピューティング、5)スマートシティ、6)自動運転、を指す。それぞれ、1)ではMIMO/信号処理/セキュリティ/ネットワーク機能、2)では、ビームフォーミング/FFTおよびフィルタ/AIや機械学習、3)ではスイッチング/セキュリティ/検査及びレポート、4)ではAI/ビッグデータ分析/ビデオトランスコーディング/NFV+SDN/ストレージアクセラレーション/セキュリティとDPI、5)ではセンサフュージョン/AIや機械学習/IoTセキュリティ、6)ではセンサフュージョン/ AIや機械学習/機能安全/コネクティビティ、などの技術を使う。

こういった技術を実現するうえで、最も汎用性のある解として、Intelはヘテロジニアスコンピューティングアーキテクチャを提案した。元々コンピュータシステムは、ハードウエアを共通にしてソフトウエアを変えることによって、いろいろな応用機器を実現するためのテクノロジーである。ただし、ソフトウエアだけでデータ処理をするとどうしても遅くなる。その部分はアクセラレータとしてハードウエアで構成する。そのハードウエアでも決まっているアルゴリズムを使う場合には専用ASICを使い、アルゴリズムが時代と共に変わりやすいテクノロジーにはFPGAを使う。


図2 Intel社Programmable Solution Division、Customer Experience Group担当副社長のRina Raman氏

図2 Intel社Programmable Solution Division、Customer Experience Group担当副社長のRina Raman氏


FPGAの使い方としては、夜間に翌日のワークロードを予測し、FPGAを組みかえることで柔軟にサーバーの利用効率を上げることができると同社Programmable Solution Division、Customer Experience Group担当副社長のRina Raman氏(図2)は述べている。

さらに同氏は、FPGAを使ったコンピューティングアクセラレーションの実例として、ドイツのSWARM64社がデータベースの高速化を果たした実例や、生体科学研究の米Broad Instituteがゲノム解析に使い極めて短時間で解析できた事例などを紹介した。中国のe-コマース会社アリババもFPGAでデータ処理を高速化したという。

データセンタなどのコンピュータシステムアクセラレータにFPGAを導入してフレキシブルなハードウエアを簡単に構築できるようにするため、IntelはPAC(Programmable Acceleration Card)カードと呼ぶFPGAボード(図3)をサンプル出荷した。これは、CPUのインターフェースであるPCI Express Gen3を8レーン搭載したインターフェースを持ち、もう一方には最大40GbpsのQSFP(Quad Small Form-factor Pluggable)インターフェースを備えたFPGAボードである。QSFPは、データ通信によく使われるホットプラガブルな(動作状態でもコネクタを挿抜できる)トランシーバ。


図3 FPGAで回路を設計したらそのまま使えるIntelのPAC

図3 FPGAで回路を設計したらそのまま使えるIntelのPAC


このFPGAカードをデータセンタのコンピュータマザーボードに差し込めば、CPUの負荷を増やすことなくコンピュータシステムを高速にできる。使用するFPGAは、Arria 10 GXという1,150Kのロジックエレメントを集積した製品。

Arria 10シリーズは20nmプロセスの製品だが、Intelは9月に発表した10nm FinFETプロセスのFPGAであるFalcon Mesaも次世代用に控えている。この新型FPGAは、シリコンインターポーザを基板に埋め込むEMIB(Embedded Multi-Die Interconnect Bridge)パッケージング技術(図4)を使う2.5D ICである。メモリはDRAMをスタックにTSVで重ねるHBM(High Bandwidth Memory)をサポートしている。


図4 10nmプロセスのFalcon Mesaではシリコンブリッジと呼ぶインターポーザを基板に埋め込む

図4 10nmプロセスのFalcon Mesaではシリコンブリッジと呼ぶインターポーザを基板に埋め込む

(2017/10/16)

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