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Xilinxの新All Programmable戦略に、Intel/Altera買収の影あり

FPGAのトップメーカー、XilinxがAll Programmable戦略を打ち出した。これは、これまでプログラマブルなハードウエアであるFPGAを扱ってきたXilinxが、プログラマブルなソフトウエア対応のCPUも扱うことを意味する。なぜ、こういった戦略を発表したのか。

図1 Xilinxが狙う次世代分野 出典:Xilinx
図1 Xilinxが狙う次世代分野 出典:Xilinx


実は、この裏にはIntelのAltera買収の影響が大きい、と筆者は見る。高度なシステムLSI、すなわちSoCには必ずCPUコアやメモリ(ROM、RAMなど)を含んでいる。CPUを動かすためにはソフトウエアが欠かせない。機能をソフトウエアで作り変えるのがCPUのプログラマビリティである。しかし、ソフトウエアだけで機能を作り出せたとしても、速度や消費電力などの性能までは満足できるとは限らない。そこで、通常はSoCの上にソフトウエアではできない独自のハードウエア回路を設計する。納期や開発期間の短縮も求められると、ハードワイヤードなカスタム回路設計ではとても間に合わなくなる。このためFPGAはビジネス機会を捉える上で欠かせなくなる。つまり、これからのSoCにはCPUとFPGAの集積化がとても重要になる。IntelはCPUを持っているがFPGAは持っていないため、Alteraを買収して手に入れた。

では、Xilinxはどう出るか。同社のSoC製品、ZynqにはARMのCPUコアとメモリ、基本的なインターフェース回路、そしてFPGAが集積されている。FPGAは、独自の回路を組むうえで打ってつけのハードウエアである。ARMのCPUコアもミッドレンジのCortex-A9だけではなく、ハイエンドのCortex-A53マルチコアもMPSoCとして用意している。さらにリアルタイムOSに対応するCortex-Rシリーズもある。クルマ向けにはCortex-R5で安全性を得る。このようにして、ハードもソフトもプログラム可能な設計のプラットフォームを作っておけば、将来の分野に対しても素早い設計が可能になる。

同社は大きな将来分野として、工業向けIoT(インターネットオブシングス)、クルマの安全性を高めるADAS(先端ドライバ支援システム)、クラウドコンピューティング、5Gワイヤレスネットワーク、ビデオ/ビジョンシステムの広がり、SDN (Software-Defined Network) / NFV(Network Function Virtualization)を大きなメガトレンドだと見ている(図1)。日本では、IIoTとADASに集中している嫌いがあるが、演算能力を高めると共に、リクエスト入力からデータ出力まで完全自動処理を行うクラウドシステムや、10Gbpsと1msのレイテンシ、さまざまなヘテロネットワークを許容する5Gモバイルネットワークへの実験も始まった。監視カメラやマシンビジョンなどビデオを利用する分野の拡大、ハードウエアを最小にしてカスタム化できるソフトウエア定義のネットワークシステムなども今後のシステムである。

同社が進めるAll Programmable戦略の中でも最も大きなキモは、SDX(Software Defined X)である。ソフトウエアで定義されたXということになるが、この言葉の始まりでは、XがRadioだった。つまりソフトウエアで定義された無線とは、さまざまなモデム(変復調)方式のベースバンド回路をソフトウエアの入れ替えだけで、どの方式にも対応しようというモノ。LTEのように世界中で45程度の方式が混在するモデムには威力を発揮する。ICを共通にして、ソフトウエア(フラッシュなどにストアしておく)を入れ替えるだけで世界中のモデムが使える技術である。最近では、SDN(Nはネットワーク)という言葉が大流行だ。LTEやWi-Fi、3Gなどさまざまなモバイルネットワーク機器をデータプレーンと制御プレーンに分け、制御部分を1本化(共通のプラットフォーム)し、データプレーンのみ、ソフトウエアを変えるだけでそれぞれにネットワークに対応しようとするものだ(参考資料1)。

XilinxはSDXのコンセプトをSoCにまで適用し、SD SoCという言い方をした。SoCのプラットフォームを作り、ソフトウエアを変えるだけで、ビジョンシステムや、カメラの画像処理、HDビデオなどの応用に向けた半導体チップを実現しようというアイデアである。ソフトウエアを変えていろいろなカスタム製品を設計し、ハードウエア(FPGA)でその回路を最適化するのである。これを同社コーポレート戦略&マーケティング担当シニアVPのSteve Glaser氏は、「Software-DefinedでFunctionを設計し、Hardwareで最適化する」と表現する。Xilinxは今後5年以内に潜在ユーザーを5倍に増やすことを目標としている(図2)。これは、Software-Defined X戦略により、ソフトウエアエンジニアの数とハードウエアエンジニアの数を足した潜在的なユーザーといえそうだ。


図2 次の5年で潜在ユーザーを5倍に 出典:Xilinx

図2 次の5年で潜在ユーザーを5倍に 出典:Xilinx


参考資料
1. SDNネットワーク向けの半導体製品発表相次ぐ (2014/03/27)

(2015/09/09)

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