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Cypress、新USB規格、USB Type-CのコントローラICを最初に出荷

USBの新規格であるUSB Type-Cコネクタを使えるようにするコントローラが早くも登場した。Cypress Semiconductorが3月から量産する。この新規格を利用するコネクタは、従来のUSBコネクタジャックの厚みを半減させ、ウルトラブックやタブレットなどに威力を発揮する。しかも、小型ながら最大100Wの電力を扱えるため、急速充電が可能。

図1 新規格USB Type-Cはコネクタの厚みが半減 出典:Cypress Semiconductor

図1 新規格USB Type-Cはコネクタの厚みが半減 出典:Cypress Semiconductor


従来のUSBコネクタの端子はType-Aと呼ばれ、コネクタ口の厚さが4.5mmに対して、Type-Cのそれは2.4mm(図1)。また従来のType-Aと違って、裏表を反対にして差し込んでも利用できるリバーシブル。しかもこの規格はPCIexpressまたはDisplayPortの信号を送受信できる。すなわち、Thunderboltにも対応する。しかも従来のUSBと同様、電源も供給できる。

USB Type-C規格を利用したこのコントローラCCG1ファミリーは、タブレットやウルトラブックだけではなく、モニターや電源アダプターにも使える。Cypressはこのコントローラをサンプル出荷中であるが、3月から量産する予定だ。同社が業界に先駆けて、新USBコントローラを発売できるようになったのは、同社の主力製品であるpSoC(Programmable SoC: プログラム可能なアナログ回路を集積したマイコン)技術で開発したため。ノートパソコンは2015年中ごろにType-C規格へ移行すると見ており、そのために開発期間の短いMCUベースのコントローラが必要と考えた。

例えば電源では、パソコン時代のUSB2.0は最大電流容量が500mA、USB3.0は900mAであった。今回の電源供給端子は最大5Aで電圧も最大20Vであるため、100Wの電力を提供できる。

このUSB Type-Cコントローラには、マイコンに特化したCPUコアとして32ビットのARM Cortex-M0を集積、32KBのフラッシュやアナログ回路、汎用インタフェース、さらにType-Cのポート2本なども集積している(図2)。加えて、ベースバンドMACとPHY回路も集積、通信回路にも対応する。プログラムし直すためのプログラマブル配線ラウティングシステムも入っており、ARMコアと直結するデジタルバスにはARMの標準バスであるAHBバスを集積している。


図2 ARM Cortex-M0コアで制御されたCCG1 出典:Cypress Semiconductor

図2 ARM Cortex-M0コアで制御されたCCG1 出典:Cypress Semiconductor


このUSB Type-Cコントローラは、ノートパソコンではUSBの受信回路には電源を供給するためのパワーFETを4本制御する端子に加え、受信回路からパソコンのマザーボードをつなぐ役割を果たす。また、モニターでもマザーボード上のUSBハブやDisplayPortを制御する。

このType-Cコネクタを使った新型パソコンや、ケーブルコネクタ、電源アダプター、ディスプレイインターフェースなどを実現するアプリケーションノートを提供している。加えて、ノートパソコンやケーブルコネクタ、電源アダプター、モニターなどを開発するためのCCG1デモキットも提供する(図3)。


図3 Cypressが提供する開発デモキット

図3 Cypressが提供する開発デモキット


USB 3.0 Type-Cプラグは送る側が22ピン、受信側は24ピンという構成になっているという。ノートパソコン向けには40ピンのQFN、電源アダプター向けには16ピンSOIC、28ピンSSOP、ケーブルやモバイルアプリケーション向けには35ボールのWLCSPパッケージで入手できる。

(2015/02/13)

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