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ローム、低消費電力ワイヤレスに注力、HEMSにはWi-SUN規格のモジュール導入

ロームが低消費電力の無線通信技術に力を入れている。ロームは2008年に沖電気の半導体部門を買収、Bluetoothをはじめとする低消費電力の無線技術を手に入れた。旧沖電気半導体はラピスセミコンダクタと名前を変え、ロームの一部門となった。沖電気は元々NTTへの納入など、通信技術の強い企業。これからの半導体応用には無線技術が欠かせない。

IoT(Internet of Things)、センサネットワーク、モバイル端末の周辺、カーエレクトロニクス、ヘルスケア(BAN:body area network)、スマートホーム/HEMS/BEMS、スマートグリッド、エネルギーハーベスティングなど今後の成長産業のほとんどの部分に無線技術が使われる。それも低消費電力用途が圧倒的に多い。

京都の企業であるロームらしい応用の一つがEnOcean規格に準拠したエネルギーハーベスティング製品だ。EnOceanの規格に準じた製品の相互運用性や標準化問題を扱うEnOcean Allianceが最初に日本に普及にやってきたのが2010年7月(参考資料1)。EnOceanはエネルギーハーベスティング製品を設計・製造・販売する会社。EnOcean Allianceはそのエコシステムである。最初の製品は無線でしかも電池を持たない電気スイッチであった。これは、指でスイッチを押す力で電力を起こし、その電力で無線回路を動かし、電灯を点けよという信号を送信し、天井灯などを点けるためのスイッチである。ロームは昨年、EnOcean規格に準拠したスイッチ製品を発表している(参考資料2)。京都や奈良などに多い神社仏閣のライトを点灯するスイッチとして使われた。このスイッチは配線不要だからこそ、お寺内部のどこにでも設置できる。配線が必要だと建物の柱などに制約があり、工事が難しい。まさに京都らしい応用といえる。

図1 Wi-SUN規格に準拠した通信モジュールBP35A1 出典:ローム

図1 Wi-SUN規格に準拠した通信モジュールBP35A1 出典:ローム


実は、EnOceanの無配線・無電池のスイッチが普及したのも同じような理由からであった。欧州などの古い建物では、電灯のスイッチを配置するのに、どこにでも取り付けるわけにはいかない。建物の柱や石の壁など、設置できない場所が多く、スイッチを取り付ける場所の自由度が極端に低くなるからだ。欧州には築300年、400年の建築物が多いが、内装は居住者・使用者によって、取り換えることが頻繁にある。このため、配線のいらないスイッチが普及した。

ロームは、Bluetooth LE(Low Energy)Wi-Fi、ZigBeeに加え、このほど特定小電力無線と呼ばれる技術の一つであるWi-SUN規格に準じた通信モジュールBP35A1(図1)を発売した。Wi-SUNは日本を中心として国際的に認証された無線規格で、IEEE802.15g規格をベースとしている。アプリケーションレイヤーとして国内のホームネットワーク規格ECHONET Liteをサポートしている。この規格の当面の応用は、スマートホームにおいて各家電機器とゲートウェイの役割を果たすHEMS(home energy management system)機器との間をつなぐ通信である(図2)。2013年10月に、HEMSとスマートメーターとの間をつなぐ規格としてWi-SUNを東京電力が採用することが決まったことから、ロームはスマートホームでの応用を決めた。


図2 家庭内の機器とHEMS、HEMSとスマートメーターをつなぐWi-SUN規格 出典:ローム

図2 家庭内の機器とHEMS、HEMSとスマートメーターをつなぐWi-SUN規格 出典:ローム


ロームのモジュールは、ソフトウエアスタックも汎用になるように組み込んであり、顧客はECHONET Liteの対応機器をそのままつなぐことができる。家庭内でのWi-SUNはスター構成のネットワークトポロジーを取る。当初のHEMS機器では、ZigBeeをベースとしたメッシュトポロジーのSmart Energy 1.0が導入されたが、Smart Energy 2.0ではスター構成のネットワークトポロジーになり、Wi-SUN規格は候補の一つとなる。

このモジュールに搭載した無線チップはラピス製のML7396/ML7406ベースバンドICで、無線周波数は900MHz帯である。データレートはWi-Fiと比べると遅く、50kbps〜400kbps程度だが、送信距離は100m〜1kmとWi-Fiよりも広範囲に渡る。消費電力は受信時15mA、送信時24mA/32mA、スリープ電流0.56µA。HEMSに集める消費電力情報は、デューティを下げることで電力を下げられるため、実際の消費電力は動作時よりももっと低くなる。モジュールには、マイコンも搭載しており、UARTを通して外部のホストCPUと直接やり取りできる。

ロームは今後、Bluetooth LEにも大きな期待をしており、チップからモジュールまで提供する体制を築いている。今年の後半にはBluetooth LEの一部であるBluetooth 4.1に対応したチップをリリースし、すぐにモジュールにも対応する。Bluetooth LEはスマホやタブレットに入っているだけではなく、ヘルスケアを主体とするウェアラブルデバイスにも入っていく。


参考資料
1. 電池不要ワイヤレス送受信機の標準化に力を入れる欧州のエンオーシャン (2010/07/16)
2. Rohm starts offering products compliant with EnOcean standard (2013/04/22)

(2014/04/08)

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