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SDNネットワーク向けの半導体製品発表相次ぐ

通信インフラに使うネットワーク機器を新たに、SDN(software defined network)方式に変えて、ネットワークを柔軟に制御する技術が1〜2年注目されてきたが、半導体分野でもNetronomeとFreescaleがSDN対応チップを相次いで発表した。SDNは2月のスペインのバルセロナでのMWCでも話題となったと言われている。

図1 SDNは制御とスイッチを分け、通信機器を一元管理 出典:Freescale、ETSI NFV Whitepaperなど

図1 SDNは制御とスイッチを分け、通信機器を一元管理
出典:Freescale、ETSI NFV Whitepaperなど


従来の通信ネットワークシステムでは、機器ごとに(つまり半導体ごと)に特定のネットワークを制御する部分と、パケット転送するデータプレーン(スイッチ)部分を統合している専用機であった。それもネットワークによって専用機をいくつも用意していた。SDNは、ネットワークを制御する部分とデータプレーンを切り離したもの(図1)。制御用のハードウエアを1台にまとめて、ネットワークごとにソフトウエアで切り替えて制御する。これにより、通信機器を一元管理できる。

大きなデータセンターに象徴されるネットワークインフラを、単純なシリコンのパケットコアとそれに付随するソフトウエアで置き換えられるため、SDNは、インターネットのサービスプロバイダや企業内ネットワークの設計に大きなインパクトをもたらすと見られている。


図2 NetronomeのFlowNIC(上の二つのボード)

図2 NetronomeのFlowNIC(上の二つのボード)


最近、米ファブレス半導体のNetronomeがリリースしたのは、ソフトとハードからなるプラットフォームアーキテクチャ。SDN用の標準サーバに使うもので、ハードウエアのアクセラレータNIC(ネットワークインターフェースカード)を備えた仮想スイッチを増強し、ネットワーク機能の仮想化(NFV)設計を行う。製品の一つはFlowNICシリーズ(図2の上の二つ)で、最大200Gbpsまで拡張できるPCIe Gen3インターフェースを持つ。もう一つはFlowEnvironmentソフトウエアパッケージで、標準のAPIを備え、仮想スイッチオフロードとアクセラレーション用のコンフィギュレーションプロトコルを提供する。

Netronomeが発表したハード部分のFlowNIC-6xxファミリは、Intelの22nm TriGateFETプロセスで製造されたフロープロセッサを搭載したカード。PCIe Gen3アダプタでは、2×40Gbps、4×40Gbps、1×100Gbps、2×100GbpsのGigabit Ethernetを選択できる。このカードには最大4個のPCIe Gen3インターフェースを内蔵、超高速のバンド幅を標準で持つ。カード1枚に216個のプログラマブルなコアを集積し、SDNプロトコルと規格にも極めて高速に変えられる。

もう一つのFlowEnvironmentソフトウエアパッケージは、これまでの20倍以上の仮想化スイッチング性能を持ち、1サーバ当たりで使えるVM(virtual machine)インスタンス数を大きく増やすことができるという。このパッケージソフトは、Open vSwitch (OVS)2.0、OpenFlow 1.4、Intel DPDKやネットワークの仮想化プロトコル規格に準拠する。加えて、標準的なAPIを提供し、さらに最大400Gbpsまで拡張できる同社のFlowProcessorもサポートする。

Freescaleは、64ビットマルチコアプロセッサQorIQ(コアアイキューと読む)をネットワークプロセッサとしても使うと発表した。これは元々持っていたPowerアーキテクチャをCPUコアとするマルチコアプロセッサ。28nmプロセスのQorIQのTシリーズとして8製品をこれまで出してきた。同じ28nmでも、QorIQ Layerscaleシリーズは、Powerアーキテクチャに加えてARMコアを持つプロセッサも開発中である。これによりさまざまなユーザに対応する。


図3 Freescaleが提供する制御用とデータプレーン用の2種類のソフトVortiQa

図3 Freescaleが提供する制御用とデータプレーン用の2種類のソフトVortiQa


FreescaleはさらにVortiQa(ボルティカと読む)シリーズのソフトウエア製品も発表した(図3)。この製品は、SDNに対応し、制御とデータプレーン、それぞれのハードウエアに対応するソフトである。共に、Powerアーキテクチャで動作することを確認している。マルチコアプロセッサをベースにしたプラットフォームで最適化され、移植性の高いソフトウエアだという。

データプレーンを動かすソフトウエアVortiQa ON (Open Network) Switch Softwareは、パケットの属性を認定したり、その処理の仕方を管理したりする(図4)。例えば、パケットの属性がわかれば、ネットワーク中を流れるアプリを見つけることができる。VortiQa ON Director Softwareは、アプリケーションレイヤーからのリクエストを理解して、制御部分のコアを動かす。また、データプレーンとのインターフェース/コントローラの送信機能も持つ。


図4 データプレーン用のソフト 出典:Freescale Semiconductor

図4 データプレーン用のソフト 出典:Freescale Semiconductor


Netronome、Freescale共に半導体メーカーながら、コアとなるプロセッサだけではなく、プロセッサの入ったSDNを動かすためのソフトウエアも開発している。半導体メーカーはチップの提供だけではなくなる。

(2014/03/27)

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