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歪んだ映像を補正するビデオ処理専用ICをジオセミが開発中、監視カメラ応用

ボストンでの爆発事件の犯人を捜すのに威力を発揮した監視カメラ。監視カメラ市場では、360度あるいは180度の魚眼レンズカメラが求められている(図1)。1台で広い範囲をカバーできるからだ。その魚眼広角カメラ用途に向けた専用のチップをジオセミコンダクタ社が開発中。このほどGlobalpress主催のE-Summit2013でそのチップの一部を明らかにした。

図1 魚眼レンズの映像を補正する 出典:GEO Semiconductor

図1 魚眼レンズの映像を補正する 出典:GEO Semiconductor


ジオセミ(GEO Semiconductor)社は、創業4年のベンチャーだが、ジオメトリプロセッサやコーデックなど映像・画像処理プロセッサの専門家集団が設立したファブレス半導体企業である。このほど、1300万ドルの資金調達を完了した。同社は2012年12月にマキシム・インテグレーテッド社のデジタルビデオ事業を買収、映像・画像処理プロセッサ製品を強化している。今年第2四半期中に開発中の新型チップeWARPを出荷する予定である。

eWARPチップは、画素のジオメトリ変換をリアルタイムで実行する高効率のハードウエア回路を主体とするICであり、プログラムもできる。カメラの画像・映像やプロジェクタの歪みなどを補正する。カメラでは、広角や魚眼レンズによる歪み、横方向の色収差などの歪みを補正し、プロジェクタでは投影光学系の歪みや台形を補正する。またパノラマ画像を作り出すためのオーバーラッピング補正も可能である。

このICは、レンズ補正(Correct)、平坦な画像処理(DeWarp)、物理調整の自動化(Calibrate)、リアルタイムでのカメラのパン撮り/傾き/ズーム作業(ePTZ)、という各工程のジオメトリ補正を1チップで実行する。このうちePTZという作業工程では、180度の広角画像を見る位置とその大きさ形状をカスタマイズできる。映像としてはHD解像度のビデオを最大60 fps(frames per second)、リアルタイムで処理する。また、360度の周囲に渡って最大8画面のビデオを処理できる(図2)。


図2 360度の周囲に渡り8画面まで撮影できる 出典:GEO Semiconductor

図2 360度の周囲に渡り8画面まで撮影できる 出典:GEO Semiconductor


映し出す映像は、平面スクリーンだけではない。曲面状のクルマのフロントガラスに情報を歪みなく投影することができる。加えて、サラウンドビューモニター(図3)のように、まるでクルマの上から見ているような映像を4台のカメラで合成、画面に表示するという応用もある。


図3 クルマの上から見るように画像合成するサラウンドビューモニター 4台のカメラ信号を1チップで処理できる 出典:GEO Semiconductor

図3 クルマの上から見るように画像合成するサラウンドビューモニター 4台のカメラ信号を1チップで処理できる 出典:GEO Semiconductor


同社マーケティングおよび事業開発担当VPのBrian Gannon氏(図4)は、「このプロセッサは、プログラマブルデバイスであるが、DSPやFPGAではない。変換方程式やLUT(ルックアップテーブル)を使ったりするハードウエア回路ブロックである」と語る。PCベースのSDK(ソフトウエア開発キット)も提供していくとしている。来年にはクルマに搭載されることを同氏は期待している。


図4 GEO Semiconductor VPのBrian Gannon氏

図4 GEO Semiconductor VPのBrian Gannon氏

(2013/04/25)

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