セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

AMD-Xilinx、ロボットOS2搭載のSoMスターターキットを発売

コンピュータの最大のメリットは、共通のハードウエアを基にソフトウエアを入れ替えるだけでさまざまな機能を実現できることだが、ロボットでもそれが可能になる。AMD-Xilinxは、FPGAを集積したSoCを搭載しR(ロボット)OS2 を採用したロボット向けのシステムオンモジュール(SoM)「Kria」を開発、そのスターターキットを発売した。ロボット開発が大幅に短縮されそうだ。

図1 AMD-Xilinxが提供するKria搭載のスターターキット 出典:AMD-Xilinx

図1 AMD-Xilinxが提供するKria搭載のスターターキット 出典:AMD-Xilinx


産業用のロボットでは、制御回路をこれまで手作り(ハードワイヤード回路)で作製することが多かった。このためロボットの機種が変わるごとに作り直ししなければならない。ここにコンピュータのようなプラットフォーム的な考えを導入することにより、ソフトウエアベースでロボットの制御回路を実現できるようになる。しかも、他のコンピュータとも通信し協調できるようになる。

その中核となるソフトウエアがROS(Robot Operating System)である。実はこれまでのROSは大学で制作されたもの、工業的には使い勝手が悪く、ほとんど使われなかった。そこで工場などで使えるようにしたのがROS2であった。いろいろなコンピュータクラスタと協調できるという。「今後はROS2ベースでロボットが使われるようになる」とAMD Adaptive and Embedded Computing Groupマーケティング・戦略マネージャーのKV Thanjavur Bhaaskar氏は予測する。

Xilinxが目を付けたのは、ロボットでもリアルタイムが要求される手術用ロボットやリモート操縦用のロボットの分野で、ROS2を最初からサポートしている。ロボット制御をリアルタイムで実現すれば、さらに工業用ロボットや製造装置同士がTSN(Time Sensitive Network)を通じてリアルタイムで協調できるようになる。まさにIndustry 4.0の中核となるネットワークの世界である。

AMDに買収されたXilinx(Adaptive and Embedded Computer Groupとなった)は、FPGAにCPUやメモリを集積したZynq UltraScale+ MPSoCと呼ばれる、カスタム仕様を作りやすい適用型コンピュータチップを持っている。このマルチコアSoCにメモリや電源ICなどを搭載したプリント回路カードがSoM(システムオンモジュール)の「Kria」である。今回はKriaに開発用のソフトウエアを付けたスターターキット「KR260」を販売する。

KR260ハードウェア・プラットフォームには、ロボティクス・ソリューションと産業ソリューション用のインターフェイスが予め組み込まれているため、ロボット開発者にとっては、自分らが求めるカスタマイズだけをすればよい。AMD-Xilinxのアプリストアからアクセラレーションソフトウエアをダウンロードすることで簡単に評価できるようになる。

このスターターキットでカスタマイズが終われば、自社ロボット向けSoMが完成となり、容易にロボットに組み込むだけとなる。ロボットへの組み込みが従来のハードワイヤード方式と比べ9カ月も短縮できるという。AMD-Xilinxは、FPGAと適用型SoCという半導体チップだけではなく、アクセラレータカード、さらにSoMも販売しており、システムメーカーへのサポートを強化している。

(2022/06/01)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.