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500μs以上発信中電波なら100%捕捉できる可搬型リアルタイムスペアナ

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米Tektronix社は、持ち運び可能なリアルタイム・スペクトラムアナライザSA2600およびH600を発売した。最大6.2GHzの信号をリアルタイムに周波数ドメイン領域で観測でき、しかも重量が6kg程度にまで軽量化した。最近のBluetoothやWi-Fi無線LANなどスペクトラム拡散技術を利用する通信方式が普及したことからリアルタイムスペアナが求められているが、持ち運び可能なレベルにまで軽量化、しかも500μs以上の信号なら100%補足できるスペアナはなかった。

持ち運びできるようにしたのは、これまで同社が市場へ出していたミッドレンジからハイエンド機種を使うユーザーの声に基づいたことによるという。これまで最大の14GHzまでの信号を観測できるハイエンド機種から今回、ローエンドへ製品ポートフォリオを広げることでリアルタイムスペアナの現場への導入が可能になった。

現場では、通信キャリヤの地上局や無線LANのアクセスポイント、RFID発信機などの設置業者が近くに干渉電波を発する装置がないかどうかを検出、特定できる。セキュリティ関係では違法電波の発信源を特定できる。自動車に持ち込んで、違法電波発生源あるいは干渉電波発生源を見つけ出すことができる。さらにこれら2機種にはGPSによる地図情報も載せているため、干渉電波がどこから出ているか地図上にマッピングもできる。もちろん、発信機設置業者自身の装置の設置場所も一目で見ることができる。


Tektronixが発売するSA2600可搬型リアルタイムスペアナ

Tektronixが発売するSA2600可搬型リアルタイムスペアナ


スペクトラム拡散方式は、広い周波数範囲の中で時間とともに電波の周波数を変化させてしまうため、リアルタイムスペアナでなければ違法電波や干渉電波を捕捉することが難しい。今回の測定器を用いることで、そういった電波の発生源を突き止めることができる。

しかもPOI(probability of intercept)と呼ぶ指標を導入、干渉信号がある時間以上発信していれば100%の確率で捕捉する。低価格機種のSA2600では500μs以上だが、やや高級機種H600だと125μs以上と短い電波でも100%捕捉できるのが特徴である。信号の周波数スペクトラムを測定する回数は、SA2600が2500回/秒、H600は10,000回/秒以上捕捉、蓄積、表示するため、信号のエンベロープを正確に把握できる。

測定表示された周波数スペクトラムを何枚も重ね合わされたスペクトラム波形から周波数と変調方式を見極めることができるため、割り当てられている周波数帯かどうかもすぐわかる。周波数は常にスキャンしながら検出する。より高精度なH600には正規の信号スペクトラムを比較できる機能も追加されている。

いずれの機種ともリアルタイム測定での帯域幅が20MHzあるため、CDMA方式からOFDM方式までカバーできる。信号感度あるいはノイズレベルは-153dBmと極めて高い。バッテリは10.8VのLiイオン電池パックを2本搭載したときに連続5時間動作可能。電流容量は不明。消費税別価格は、SA2600が298万円、H600が473万円。

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