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マスク検査時間の40%短縮をASETが発表

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超先端電子技術開発機構(ASET)のマスクD2I技術研究部は第二回成果報告会を4月11日に東京で開催した。リソグラフィ技術の中で、マスク設計や描画、検査技術といった開発テーマを平成18年度から21年度に渡り、研究しようというもの。今回の報告会では、前年度すなわち、2008年3月に終了した平成19年度の仕事について紹介した。

平成19年(2007年)度の研究成果として、マスク検査技術の検査時間短縮技術を開発し、従来と比べ40%検査時間を少なくできたとしている。検査時間は大きく分けてハードウエアの検査時間と欠陥を見つけるレビュー時間がある。今回はこのレビュー時間を大幅に短縮することで、ハードの検査時間が変わらなくても、トータルの検査時間を40%短縮した。

欠陥レビュー時間を短縮するため、三つの工夫を行った。すなわち、繰り返しパターンを利用、パターンに重要度を設け欠陥判定を簡素化、パターン転写シミュレーションによる欠陥判定、である。

繰り返しパターンの利用に関しては、1種類のパターンで欠陥が見つかったら、その近くに同様なパターンを探す。そのためのソフトウエアを開発した。これは似たような種類のパターンで発生する欠陥は、複数同様なパターンで発生しているはずだという考えに基づく。さらに、欠陥のあるパターンに設計パターンを重ねる。1種類のパターン内だけで正確に合わせこむと同様なパターンにもそのまま使えるため、精度が上がっている。さらに、マスクデータが200Gバイトを超すような巨大な場合もあるため、16代のパソコンクラスタを並列動作させる。これはビューワーの実効関数を並列処理することになり、これまでビューワーが表示されるまでにかかる時間を1時間以内という目標を設定し、1枚105Gバイトを1枚出すのに10分で済むようになった。これが2枚の200Gバイトでも20分で済む。

パターンの重要度を設定する前に、まずマスクデータとなるMDR(マスクデータランク)ファイルから、検査ツールに合うようなDMフォーマットとよばれる形式にデータ変換する工数を減らした。従来はVSB(variable shaped beam)フォーマットへの変換や拡張変換などを経ていた。この段階を省略できることをチェック、確認した。


Defect judgment function analyzer


パターンの重要度は、パターン幅の広い場所と狭い場所で判定のしきい値を変え、そのしきい値の違いを色で識別した。パターンの幅が広く多少欠けても特性に全く影響を及ぼさないような場所の優先度を下げた。パターンの細い場所は最重要度となる。

転写パターンシミュレーションは、まず欠陥画像を得、GDSファイルからパターン輪郭像を作り、欠陥画像と重ね合わせウエーハの画像を作成する。このようにして評価マスクを作り、欠陥判定に利用する。なお、この検査技術のプレゼンテーションはニューフレアテクノロジーが行った。

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