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エプソンが20μmピッチの液晶ドライバを実装したCOGの信頼性を発表

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セイコーエプソンは、次世代液晶ディスプレイ用樹脂コアバンプCOG実装技術を開発したと昨年発表したが、このほどその信頼性試験結果や技術の詳細を明らかにした。今回テストした、液晶ディスプレイドライバ用の半導体チップの外部リード端子が20μmピッチと非常に細かく、それをCOG(チップオングラス)に実装したもの。ドライバ端子はディスプレイの画素ラインごとに設ける必要があるため、フルハイビジョンなどの高精細テレビにはドライバピッチの微細化が要求される。

エプソンが樹脂コアバンプと呼ぶ、微細ピッチの液晶ドライバ端子技術は、細長い感光性樹脂を形成し、その上に金の薄膜を20μmピッチでパターニングしたもの(図1)。金の薄膜パターンの間は絶縁体の樹脂で構成しているため、微細化しやすい。


エプソンの開発した樹脂バンプ接続技術のパターン

図1 エプソンの開発した樹脂バンプ接続技術のパターン


従来の微細なパターン形成技術では金バンプと異方導電性ゴムあるいはプラスチックを用いた。しかし金バンプだと金の厚さが20〜30μmと厚く、材料コストは高価であった。さらに異方導電性材料はプラスチックやゴムの中に金属粒子を混ぜ合わせたもので、この金属粒子同士が電極パッドに触れ電気的に接続できるというものだった。しかし、配線ピッチが20~30μmと微細になると導電性の金属粒子が隣接配線に触れてショートに至る危険性がある。樹脂に混ぜる金属粒子の粒径を小さくすると電気抵抗が増加するという問題もある。

エプソンが開発した樹脂コアバンプ技術では、異方導電性樹脂を使うのではなく、絶縁樹脂膜を使うため、電気的なショートという問題はない。今回発表した信頼性試験では、従来の金バンプと異方導電性樹脂との組み合わせ技術を比較に用いた。この実験では40μmピッチで比較した。その結果、従来の金バンプ+異方導電性樹脂との組み合わせでは、電気抵抗が4Ωから10Ωと大きくばらついたが(下の図2)、樹脂コアバンプはほぼ4Ωでばらつきは少ない。


温度サイクル試験での比較

図2 温度サイクル試験での比較


-40〜+80℃の温度サイクルを300回行うと、従来方式だと電気抵抗は5Ω〜40Ωへと増加した。一方、樹脂バンプ接続法では1000サイクル繰り返しても抵抗上昇は最大でもわずか1.5Ω以下にとどまっている。

図1の写真で見られるように丸い樹脂形状の作り方についても言及した。このネガ型感光性樹脂をパターニングした後、200℃でキュアすると樹脂の表面張力が働いて自然に丸くなるとしている。金のパターニングには、金の薄膜をスパッタリングで堆積した後、フォトレジスト形成、露光、エッチングにより加工する。

この技術をさらに微細化した場合の信頼性試験についても実験している。金配線のパターンを4種類設け、それぞれ線幅/線間隔を5/15μm, 10/10μm, 10/20μm, 20/10μmとした。このうち、5/15μm のテストパターンは、1000回の温度サイクル試験で、1.5Ωの抵抗が増加したものの、残りのテストパターンではすべて1Ω以下しか増加しなかった。

樹脂コアバンプの接続状態は、図2のようにガラス状の金属パターンにやや潰れるような形で接続している。接続に使う絶縁樹脂膜は、BGAパッケージのアンダーフィル樹脂のような役割を果たしており、接続がはがれるという問題はなさそうだ。

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