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グリーントランスフォーメーションの基本、バッテリ技術の進展進む

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IoTがDX(デジタルトランスフォーメーション)の基本技術として年率20%で着実に成長している間に、エネルギーの効率化を目指すグリーントランスフォーメーション(GX)も着実に始まっている。ここでは半導体とバッテリが基本技術となる。トヨタが家庭用電池事業に参入、米スタートアップが安価な材料で低価格電池の開発、パナソニックが大増産、日立が送電線の点検監視サービス開始、といった動きが目立つ。

図1 Teslaの家庭用バッテリシステム パワーコンディショナーも内蔵 出典:Tesla

図1 Teslaの家庭用バッテリシステム パワーコンディショナーも内蔵 出典:Tesla


トヨタ自動車は2日、家庭用の蓄電池事業に参入すると発表した。すでにTeslaも家庭用バッテリシステム(パワーコンディショナー内蔵)を販売しており、日産自動車は電気自動車から家庭の電気を賄う考えを示している。トヨタも加わることで、EVから家庭や送電線への戻しなど、電力を平準化することにつながる。EVに使われる電池は、劣化すると走行距離が短くなるが、定置用の蓄電池は劣化してもまだ使える。このため、EVで使ったバッテリを定置用蓄電池として使う市場もあると見られている。

米スタートアップのNatron Energy社は、米電池大手のClariosと共同でNaイオン電池を量産すると発表した。すでに大手500社がNatronの技術を確認したという。Naイオン電池は、アノード電極のNa+イオンがカソード電極側へ移動することで外部に電流を流す技術。Na+を格納配置する結晶構造には、AlやFe、Mgなどの一般的な元素が使われており、Coのような貴金属は使わない。このため材料枯渇の心配はまずない。しかも、寿命がLiイオン電池の10倍も長く5万回の充放電が可能という。安全性も高い。データセンターの電源や、風力発電、ソーラー発電などの再生可能エネルギーの平準化用電源などの用途を狙う。

パナソニックホールディングス傘下のパナソニックエナジーは1日、電気自動車(EV)用電池の生産能力を現在の年40〜50GW時から2028年度に3〜4倍に増やすと発表した。和歌山県の工場で大容量の新型電池の収益性を見極め、北米で生産を検討する。電池事業の売り上げについては、2021年度の7728億円から2024年度に9700億円に伸ばす目標も定めた。

日立製作所は送配電網の設備の点検・監視をDX化するシステムを提供すると発表した。送電線や鉄塔の高所にドローンを飛ばし、その画像を解析し構造物のひびや欠陥、老朽化を評価するAIを導入する。ドローンと衛星を活用、画像データから電線に接触しそうな樹木を発見して伐採できるようにする。さらに各地点で収集・解析したデータを地図上に反映して、可視化できる管理システムも導入する。データの解析システムには日立の「ルマーダ」の中の「ルマーダ・インスペクション・インサイツ」機能を使う。

車載用半導体はほぼ3〜4ヵ月の在庫を持つようになったと言われていたが、国内の新車販売の納期は依然として遅れていることを、6月2日の日本経済新聞が報じた。半導体不足に加え、上海のロックダウンによる部品供給網の混乱が重なったと日経は見ている。トヨタの一部販売店ではSUV「カローラ クロス」のハイブリッド車タイプの納期が5月時点で17ヵ月待ち、小型車「アクア」も3ヵ月から最長で半年に、ミニバン「ノア」や「ヴォクシー」も4ヵ月から最長10ヵ月に延びたという。ホンダのSUV「ヴェゼル」は半年待ちで、一部モデルでは受注を止めた。SUBARU(スバル)の主力車「レヴォーグ」なども半年待ちとしている。

デンソーは、半導体メーカーに対して1年以上先に使う分を発注して確保する取り組みを始めたと2日の日経が報じた。在庫管理のデジタル化も進めるという。半導体メーカーと協力を深め、2022年からは2年先の24年の想定発注数量も提示しはじめた。また社内外の半導体の在庫量をリアルタイムで可視化し、どの半導体がいつ枯渇しそうか素早く判断する管理システムも22年中に整備するとしている。

(2022/06/06)

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