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経産省、5Gや半導体に2000億円の基金

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経済産業省が2020年度第3次補正予算で、5Gや半導体の技術革新に使う基金を900億円積み増しして2000億円にすると12月12日の日本経済新聞が報じた。政府はようやく半導体産業の強化に乗り出した格好だ。一方、スマートフォンやパソコン、サーバなどのコンピュータに使うDRAMの価格が上がり始めた。台湾の環球晶円(GlobalWafers)によるドイツのSiltronic買収が正式に決まった。

これまでも複数の経済週刊誌で報じられた、台湾のTSMCやIntelなどの米国企業を日本へ誘致しようという噂話しがあったが、結局経産省の一方的な「片想い」に留まっていた。今回、900億円の追加予算案は5Gの高速通信を支える半導体関連の技術開発に回す、と日経は報じている。ただ、5G向け半導体だけではなく、「次世代半導体の試験プラントの整備などに取り組む企業を支援する。各国メーカーは半導体の性能を左右する回路の微細化や3次元化に力を入れる。内外の共同研究を橋渡しする」と報じており、半導体研究施設に力を入れることになりそうだ。SEMICON Japanの12月11日におけるオープニングパネルディスカッション「産官学トップ鼎談:豊かなデジタル社会構築への課題と提言」において、SEMIの名誉役員で東京エレクトロンの元会長・社長である東哲郎氏は、量産に結び付くような半導体開発拠点が初期投資1000億円規模で日本に必要だと訴求している。

ただ、問題は既存の総合電機メーカーと半導体メーカーだ。総合電機の経営者は今でも半導体を成長産業とみなしていない。また半導体メーカーは、5G向け半導体を手掛けていない。ルネサスエレクトロニクスはLTEモデム向けのファブレスを手放し、東芝もSoC事業を手放した。唯一、大手ではソニーだけが可能性はある。ソニーはイスラエルのLTEモデム用半導体メーカーAltairを買収して手に入れたからだ。5GモデムはLTEの延長の技術を使う。逆に5Gにつながるワイヤレス通信モジュールを手掛ける村田製作所や、ミリ波フィルタやAiP(アンテナインパッケージ)を進めるTDKが5Gデバイスを推進している。5Gで大きく変わる技術はミリ波であり、ここにおいては部品メーカーが活躍できる可能性が大きいはずである。

ただし、日経報道には、5G以外にも半導体の研究施設の整備や3次元化、微細化、さらに国内外とのコラボを含めている点で、海外メーカーの誘致の準備は整えるようだ。ただ、これまでの海外半導体企業は、単なる補助金ではなく、税制優遇をセットにしてあり、日本式の補助金を欲しがるかどうか疑問はある。税金を担当する財務省もセットにした仕組みであれば海外企業が戦略を見直す可能性は残されている。前述したオープニングパネルディスカッションで甘利明衆議院議員は、これまでの一律公平の原理で予算を均等に配分することは何もしないことと同じだと述べており、規制改革とデジタル化をセットで推進していくべきだと提言している。

来年の半導体産業を見通す一つの指標である、DRAM価格がどうやら値上がりを始めるようだ。12月8日の日経は、11月のDRAM価格は前月と据え置くことが決まり、DRAM価格が下げ止まり感を伝えた。スマホの需要回復と、データセンターでの成長によると見られている。9日の日経産業新聞も同様に、11月の下げ止まりを歓迎する半導体商社のコメント「ほんの少しだが明るい兆しが見え始めている」を掲載し、パソコン向け4GビットDDR4 DRAMの11月の大口単価が1.98ドル前後だとしている。10日の日経は、8GビットのDDR4 DRAMのスポット単価が2.86ドル前後と月初よりも4%高いと報じた。

Micron Technologyの台湾北部の桃園工場で12月3日に約1時間の停電があり、DRAMの供給が止まると12月4日のDigiTimesが報じた。DRAM市場は、Samsung、SK Hynix、Micronの3社が95%以上のシェアを占めており、桃園にあるMicronの工場は、世界のDRAMの8.8%を供給していると試算されている。旧Inoteraの桃園工場であるファブ11は、工場の安全システムが即座に動き、ロスを最小限に抑えたとしている。すでに工場は再開しているものの、原因究明も同時進行させているという。この停電が単価の値上がりにつながっているとVLSI ResearchのDan Hutcheson氏は見ている。

台湾は半導体製造も設計も強いが、製造装置と材料は弱かった。このほど環球晶円がSiltronic社を買収することにより、シリコン結晶の売上額で信越化学工業とSUMCOの間にくることになりそうだ。つまり材料でも台湾が強くなるという訳だ。

(2020/12/14)

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