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IoTが着実に浸透、スマートシティや見守りサービス商用化

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IoTシステムが着実に浸透している。センサ端末だけではなく、IoTデータの解析にエッジAIを利用、センサから高精細動画データは5Gネットワークで送受信、結果を利用者に戻し、利用者は生産性向上や、安心・安全などのメリットを受け取る。NECはIoTをスマートシティへと拡大、NTTコムも高齢者見守りサービスへ活かす。

IoTシステムは、企業や公共機関、小売りなどあらゆる産業の効率を上げる手段であり、これによって、利用機関の働き方改革や、生産性向上に役立てることができる。NECは、東京・六本木の商店街にスマート街灯を20本設置する。街灯としてLED照明を搭載するだけではなく、センサとしてのカメラ、カメラデータを本部に送る通信機器、小型ディスプレイ、スピーカーなどを搭載する。出力としてのディスプライやスピーカーは歩行者への情報発信に活用し、地域のイベントや災害情報など公共性の高い内容を想定する、と21日の日経産業新聞は報じている。

NTTコミュニケーションズは、IoTを使った高齢者の見守りサービスを企業や自治体向けに販売すると日経産業は報じた。自宅のトイレなど常に利用する場所に通信SIM(Subscriber Identity Module)を付けた電球を設置し、電球の点滅データをクラウド上へ送りデータ解析し、それを可視化アプリで見える化する。トイレの電球が5時間もつけっぱなしだと異変として、親族の利用者のスマホでチェックできる。NTTコムの子会社のNTTレゾナントが個人向けに3月からサービスを開始する予定で、NTTコムは企業や自治体向けに提供する。

IoT端末向けの半導体チップに期待するのはキヤノン。18日の日経産業に同社の武石洋明常務執行役員とのインタビュー記事を掲載している。IoTに使う半導体製品が少量多品種で展開されるが、その半導体が必ずしも最先端の7nmや5nmといった超微細化技術だけではないために、キヤノンにもチャンスがあると見ている。

IoT機器は工場内をはじめとする特定地域内で使われると見られているが、その通信手段として今注目されているのが「ローカル5G」と呼ばれる規格だ。これまでNTTドコモやKDDI,ソフトバンクなどの通信業者にしか免許を受けることが出来なかったが、5Gでは一般企業や地方自治体でも申請し、認められれば免許を受けることができる。18日には総務省が富士通に予備免許を与えたという記事が日本経済新聞に掲載された。富士通は、川崎市にある自社の研究開発拠点で利用する。監視カメラで撮影した高精細映像を5Gネットワークで、敷地内の本部に送り、不審者がいないかどうかをAIで解析するという。栃木県小山市の工場ではIoTセンサからのデータ取得に5G通信ネットワークを使う構想があるとしている。

富士通以外でも、NTT東日本は農業や酪農業者向けにローカル5Gのサービスを提供する計画だという。NECも鉄道や製造、建設、流通の4つの分野で5G利用のIoTシステムを導入する。

IoT端末にはスマートフォンも含められるが、ソニーも5G用のスマホ製品を開発、今春出荷する。カメラ機能を強化し、画像やビデオ映像を5Gで送ることで送信時間を短縮できる。放送用カメラを5Gでネットに接続するテザリング機能を備えた事業者向けも開発するとしている。

スマホはコロナウィルスの影響で、中国製の部品供給のサプレイチェーンが悪くなっているが、市況は回復の兆しを見せている。Samsungは2019年の第4四半期の業績が5四半期ぶりに得たとしており、メモリは減産に向かい始めていると19日の日経産業は報じている。回復の兆しは見えるが、コロナウィルスによる供給が寸断される影響がはっきりするのはこれからになりそうだ。

(2020/02/25)

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