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先端的クルマで盛り上がったCES,ソニーやMobileyeに注目

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先週は毎年恒例の総合デジタル技術の展示会CESが米ラスベガスで開かれ、日本経済新聞や日刊工業新聞などがレポートしている。中でもソニーやMobileyeがコンセプトカーを発表し、話題を呼んだようだ。GoogleやAmazonなどはAIスピーカーの通信規格の統一を呼びかけた。CES以外では、韓国へHFの輸出も始まった。

新聞社がニュースとして取り上げたクルマの話題はソニーとMobileye。ソニーのコンセプトカーVISION-Sは、カナダのMagna Internationalの子会社が車体を製作、ドイツのBoschなどが協力したという(参考資料1)。ソニーは運転席のダッシュボードや360度オーディオ、スマートフォンのカギなど民生機器のソニーらしいクルマのようだ。犬型ロボットAiboのチームを中心に開発プロジェクトが立ち上がったとしている。

ソニーは、CMOSイメージセンサのトップメーカーだが、クルマ用ではON Semiconductorの後塵を拝する。試作車にはセンサ33個とAI、クラウド利用など技術の組み合わせに加え、人や物体を認識する。2020年度の公道での走行実験を目指すとしている。

MobileyeはCMOSイメージセンサを12個使った自動運転車をデモしたことで、話題を呼んだ(参考資料2)。レーダーもLiDARも使わない。CMOSセンサからの画像の合成がMobileyeの強みだ。必要な半導体チップはSoCがわずか2個で、車内ネットワークとスクリーンに写し出す3Dモデリング技術が同社のキーとなる。リダンダンシーも含み、安全に配慮したとしている。

日本のメディアもCESを取材に行っている所は多いが、日本のメーカーを主体に取材しており、CES全体の動きを知るにはやはり海外メディアの報道も見るしかない。上記のMobileyeの報道は専門誌が大きく取り上げている。

日経が報じたもう一つの話題は、AIスピーカーメーカーのGoogleやApple、Amazon.comが通信規格を統一しようと標準化に動き出したことだ。家具大手のスウェーデンのイケアも、この無線通信規格を策定する業界団体に参加を表明したと、10日の日経は報じている。AIスピーカーは、つなげる家電製品のメーカーが異なればつながらないため、規格を統一することはつながる家電を普及させるうえでマスト。パナソニックなどの家電メーカーは、表向きは市場が広がると関税するが、内心は穏やかではない、と日経は報じている。

しかし、日本の家電メーカーにとって規格を統一してくれなければ自社で開発するしかなくなるため、本心からこの標準化には賛成しているはずだ。むしろ、この標準化団体に積極的に参加し、標準案を自社が開発している家電にいち早く取り込む方が成長できる。通信プロトコルのような規格は決して差別化できる技術ではない。消費者がGoogleであれ、Amazonであれ、Appleであれ、どのAIスピーカーを使っても自社の家電製品に使えるようにできれば、市場拡大は間違いない。もし規格作りに反対し自社のAIスピーカーを開発しそれに合った自社開発の通信方式の家電を開発するなら、勝てないことは明白だ。これまでの歴史がそう教えてくれている。

AIスピーカーは米国では普及してきており、2018年末時点での保有台数は、前年末比4割増の6600万台とかなりの高い普及率となっている。今後は、AIスピーカーによってプライバシーが侵されるのではないかという懸念に対して、メーカー側は、プライバシーを守ることに配慮し始めた。Amazonは音声指示で録音内容を削除できる機能を設け、Googleも利用者の会話を無断で録音しない点を強調していると9日の日経は報じた。

CES以外の話題では、日韓問題が骨抜きになりつつある。米DuPontは、韓国にEUVレジストを生産する工場を作ると表明、2800万ドルを投じて量産技術を確立し、21年にも量産投資を行う計画だとしている。また、森田化学工業は半年ぶりに高純度フッ化水素(HF)を8日に出荷したと10日の日経が報じた。

参考資料
1. VISION-S prototype vehicle concept movie
2. インテル、カメラのみのシステムで自動運転に成功…CES 2020[動画]

(2020/01/14)

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