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Googleは量子コンピュータの実証実験、クラウドでMicrosoftが急伸

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Googleが53ビットの量子コンピュータを試作、現在のスーパーコンピュータを上回る性能を実験で示した、と10月25日の日本経済新聞が報じた。記者会見を開いたため世界中で報じられた。コンピュータ実務ではクラウドビジネスでMicrosoftの攻勢が目立ちAmazonとの2強時代に入った。また、先週後半にモーターショーが開催され、クルマの未来が示された。

Googleの実験は、量子コンピュータの性能をあるタスクに関して比較すると、古典コンピュータ(スパコン)が1万年かかるのに対して、わずか3分20秒で解き量子超越を実現した、と発表された。これに対してIBMの量子コンピュータ部門は、量子超越(Quantum Supremacy)は解決不可能な計算を解くことだとして、反発した。Oakridge国立研究所のスパコンSummitを使って53量子ビット相当分の量子状態をSummitのストレージ(HDD)に記録しながらシミュレーションすれば同じタスクを2.5日で解けるという。このため量子超越とは言えない、とIBMは反発した。

ただ、53量子ビットの量子コンピュータで実際に問題を解いてスパコンより圧倒的に速いことを示したことは事実である。量子コンピュータは、量子力学の1と0の重ね合わせの原理を利用して、ほぼ同時に1と0を反転できるという超並列性を実現できるという特長を利用する。この量子コンピュータは、最適化問題を解くのに適した量子アニーリングとは異なる、量子ゲート方式といわれる技術である。いわば超並列演算を得意とするニューラルネットワーク演算に似ているが、量子状態を実現するためには、10mK(絶対温度で1/100度)まで冷却しなければ観測できない。絶対零度近くまで冷却する設備が必須である。また、1と0を表すデバイスとしては超電導SQUIDを用いたのか、あるいは別の電子デバイスなのか、については報道されていない。

クラウド市場では、AmazonのAWS(Amazon Web Service)がこれまで断トツだったが、MicrosoftがソフトウエアプラットフォームAzureを使ったクラウドサービスが急伸していることが明らかになった。2019年第3四半期(7〜9月期)におけるAWS部門の売上額は前年同期比35%増の89億9500万ドルで、営業利益は9%増の22億6100万ドルだと、Amazonが発表した。Microsoftのクラウド関連事業の売上額は同36%増の116億ドルに拡大したと日経産業新聞が報じた。

Amazon全体の売上額は、同24%増の699億8100万ドル、最終利益は同26%減の21億3400万ドルであった。つまり、Amazonはクラウド事業で利益を稼いでいるが、本来のネット通販サービスではさほど利益が出ていないと言える。これに対して、Microsoft全体の売上額は同14%増の330億5500万ドル、純利益は21%増の106億7800万ドルと好調だった。特にAzureの伸びが同59%増と大きく、業務ソフトのオフィス365も同25%伸びた。

クルマ関係では第46回東京モーターショーが開かれ、未来のクルマがコンセプトカーが続々示された。24日の日刊工業新聞によると、1〜2人乗りのEV小型車の存在が大きく、空飛ぶクルマの試作機も展示されたという。やはり合言葉はACES(Autonomy, Connectivity, Electricity, Sharing)のようだ。

デンソーは、ACESに沿った開発を加速するため、ソフトウエア開発技術者を2025年までに現状の3割増となる1万2000人に増員するとモーターショーで明らかにしたと日刊工業が報じた。特にインドやベトナムなどの世界中の拠点で人材を拡充する方針だとしている。また、ハードウエアでは17年度からの3年間で5700億円を投資したという。2025年までの電気自動車(EV)の目標として、航続距離を25%、バッテリ寿命を20%延長し、充電時間を1/3に短縮する、ことを発表した。ECUの熱管理技術で実現するとしている。

(2019/10/28)

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