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IoTのセキュリティ意識への高まりとAIの広がり

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ようやく総務省は、IoTセンサのウィルス感染に関する調査と、IoT機器の利用者への注意喚起を行う取り組みを始めた。セキュリティへの関心の薄い日本でもIoTのようにさまざまな機器がインターネットにつながることへのリスク意識が高まった。また、AIへの応用は材料開発や物流の省力化、マーケティング支援などますます広がってきている。

総務省は、情報通信研究機構(NICT)および一般社団法人ICT-ISACの3者は、インターネットプロバイダと連携し、2019年2月20日から、脆弱なID・パスワード設定等のためサイバー攻撃に悪用されるおそれのあるIoT機器の調査及び当該機器の利用者への注意喚起を進めている。6月28日の日本経済新聞によると、6月中旬の9日間にわたり調査を実施、IPアドレスを割り振った9000台のIoT機器を対象とした。NICTは、おとり用の仮のIPアドレス群に向けて送信された通信を分析することで、マルウエアに感染したIoT機器を検出することを目的とした。その結果、多い日で155台、少ない日で112台もの感染を確認した。

セキュリティ分野はこれからも成長すると見て、ソニーは4Kの解像度を持つセキュリティカメラ向けCMOSセンサを開発した。いわゆるサーベイランスカメラ用途で、暗い場所でも鮮明な画像を得ることができるようになる。画素数は846画素で、サンプル価格は2500円だという。

AIの応用は広がっている。三菱ケミカルホールディングスは、AIを使って新材料開発の効率を上げるマテリアルズインフォマティクス(MI)への投資を拡大する、と28日の日刊工業新聞が報じた。2019年度のこの分野への研究開発費を前年度の3倍に増やす。MIを簡単に使えるツールを1〜2年内に整備し、研究者のすそ野を広げる狙いがある。第1弾として、有機低分子の構造式から物性を予測できるツールを自前で開発したという。また、統計数理研究所と協力し、従来のMIでは到達できない新物質の探索も目指す。

NECはAIに注力し、定款に「医薬」を追加した、と25日の日経が報じた。定期株主総会で明らかにしたもの。患者のがん細胞をAIで調べ、専用のワクチンを作る治療法をフランス企業と共同開発するという。医薬やヘルスケアの分野は今後の成長が期待されている。今年のCESで、AppleのTim CookがCNBCテレビのインタビューで、Apple社の将来がどうなるかについて、人類に貢献できるヘルスケアの企業になっているだろう、と述べている(参考資料1)。

NECは、物流作業を効率化するのにAIを使う技術を開発した。正しい商品を選び出すピッキングや検査などに商品をカメラで撮影し、画像認識(AI)を使って商品を正しく取り出しているか、異常がないかを自動で確認する。また、ピッキング作業も自動化する。棚に圧力センサを埋め込んだシートを用い、圧力の変化で正しい商品が決められた個数を取り出したかどうかをリアルタイムで確認する。また、施設内の作業者数や出荷作業の進捗などを元に人員の最適な配置をAIで分析し、物流体制の長期計画の立案などに生かす。

また、ソニーネットワークコミュニケーションズは、PR会社のベクトルと連携し、AIを活用したシステムを開発する新会社「SoVeC(ソベック)」を設立した。AIを活用して動画を自動生成するシステムを法人向けに試験提供し始めた。提供するシステムは、動画制作の専門知識がなくとも簡単に高度な動画コンテンツを制作できるとしている。

参考資料
1. Tim Cook Teases New Apple Services to Come in 2019 (2019/01/08)

(2019/07/01)

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