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ドローンの商用化が始まり、AIが実務で普及へ

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先週は、ドローンに関するニュースが相次ぎ、商用化が始まる動きが相次いでいる。鉄塔や送電線など高所での応用から使われ始まりそうだ。また、AIが製造業の高齢化対策として熟練工のノウハウを学習して自動化する動きもある。AIはソフトウエアだけの世界ではない。ソフトのプリファードネットワークスがハードウエアの試作拠点を構えた。

セミコンポータルは、KDDIが実証実験を終え商用化サービスを始めることを伝えたが(参考資料1)、8日には日経産業新聞がアルプスアルパインと東芝デジタルソリューションが電力インフラ向けの点検ドローンを共同で開発した、と報道した。3月から関西電力が京都府内で試験的に導入する計画で、自動運行できるドローンによる点検は電力業界で初という。自動運行するためには比較的長距離通信が出来なくてはならないが、LTEを使うのかあるいは独自規格の通信方式を使うのかは記事からは明らかではない。

東京電力ホールディングスは、傘下の東京電力ベンチャーズが楽天やゼンリンと組み、鉄塔や電柱などの送配電網を道標に利用するドローン配送の実用化をめざしている、と3月6日の日本経済新聞が報じた。過疎地を念頭に定期配送サービスの19年度の開始をめざし協議中だ。将来は街中の電柱付近の活用も見据えている。

ドローンは鉄塔や電柱のような高所での作業を補助する用途が注目されている。地上からの距離を含めた3次元の位置情報を取得しながら、カメラで画像や映像を撮る訳だが、3次元座標を作るところから始まる。位置決めが済むと今度は画像や映像を撮影し、鉄塔や高所の傷や破損個所を検出するのにAIなどを利用して解析する。また電柱はコネクテッドカーに必要な画像・映像を撮影する場所にも適しており、通信のハブとしても利用できる。地中に埋め込まれた電線や通信網に対しては、マンホールの浅い内部にアンテナを設置できることをスウェーデンのEricssonがデモしている。

AIは、素材メーカーの老朽化や人手不足による事故の防止に使おうという試みがJFEホールディングスや昭和電工が行っている、と3日の日経が伝えた。JFEがこのほど国内の全製鉄所に導入したAIを使って、過去のトラブル事例や原因、復旧作業のデータを学習させ、故障原因や復旧手順を割り出す、というもの。新日鉄住金も高炉で燃やす原料の特徴や燃焼状況をAIで分析し、トラブルを未然に防ぐ仕組みを開発しているという。昭和電工は日立製作所と共同で設備故障を予知するシステムを開発し、18年10月に主力拠点である大分コンビナート(大分市)で運用を始めたとしている。いずれも、高齢化対策として熟練工のノウハウをAIに学習させるもの。

ニューラルネットワークのフレームワークを提供してきたプリファードネットワークスは、本社がある東京・大手町にハードウエアの試作拠点を開いた、と6日の日経産業が報じた。AIはロボットとの相性が良く、試作拠点「メカノ工房」には、ロボットアームなどのマシンを試作するための、5軸マシニングセンターや樹脂やカーボン用の3Dプリンタなどの装置が設置された。

米中貿易摩擦が日本製部品の追い風になる可能性が出てきた。7日の日経によると、中国の華為科技が米国製品を使わず、日本製の部品を大量に発注していることがわかった。村田製作所には従来の2倍の部品を発注しているらしいという。半導体メーカーのロームもICやカメラ部品の供給を増やすとしている。京セラはコンデンサ、東芝メモリはNANDフラッシュのそれぞれ追加発注を要請されたという。日本政府が部品メーカーや半導体メーカーに対して、米国から自粛要請があれば、民間のスマホビジネスを制限するのか、あるいは黙認するのか、注目したい。ちなみに華為のスマホは中国市場だけではなく、アフリカ市場で強い。市場調査会社のアウンコンサルティングによると、英国、フランス、ドイツでは第3位だという(参考資料2)。

参考資料
1. KDDI、ハード・ソフト・サービスをパッケージにしたドローンビジネスを展開 (2019/03/07)
2. 世界40カ国、主要OS、機種シェア状況【2018年9月】

(2019/03/11)

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