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AIチップ、AI活用の支援サービスなど実務利用が活発に

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AIチップの開発が活発化してきている。GoogleがAI機能を搭載したスマートフォンの日本販売を明らかにし、中国華為科技は半導体事業を強化しAIチップの量産に力を入れると11日の日本経済新聞が報じた。またAIの活用をもっと積極的に促す業務も出てきた。AIは半導体事業を活発にしているようだ。

Googleはこれまでも先頭に立ってAI(人工知能)に力を入れてきたが、検索エンジンを強化することが主たる目的だった。このためディープラーニングのフレームワークであるTensorFlowを開発したり、学習を強化したりしてきた。Googleは台湾のスマホメーカHTCを買収し、自社製スマホPixelを日本でも販売する予定だと11日の日経は報じている。

それによると、これまでユーザーから蓄積した膨大なデータと人工知能(AI)を組み合わせ、カメラ補正などの機能を充実させるとしている。例えば、笑顔やまばたきを認識し、写真の写りを良くするカメラ補正のほか、利用者の使用パターンを踏まえ、電池を長持ちさせたり、画面の輝度を変えたりする制御などにAIを使う。カメラなどのエッジでのAIは通常は推論専用のAIチップとなるが、具体的にAIの何をどのように利用するのかについては新聞情報では明らかになっていない。

また、中国の華為科技は、半導体部門としてHiSiliconという子会社を持っているが、これまでスマホ用のアプリケーションプロセッサで実績を積んでおり、ファブレス半導体メーカーとしても昨年、5000億円以上の売り上げを計上している。HiSiliconで今度はAIチップを開発・量産するようだ。日経には、計算能力がNvidiaを上回るという経営トップのコメントを載せており、Nvidiaの特異な学習するためのGPUやAIチップと同様な学習機能を載せていると思われる。ただし、学習するためのAIチップには、どのような応用でどの機能をどのように学習させるのか、AIの前処理と後処理が重要で、この作業を行うため開発ツールに提供には全く触れられていない。この記事では、何をAIとしているのかさえ、不明である。推論チップではないことだけは明確である。

ルネサスエレクトロニクスもAIの推論処理を行うマイコンチップを開発、サンプル出荷を開始した、と8日の日経産業新聞が報じている。これは以前から提案しているe-AIと呼ぶ推論専用の回路のようだが、AI専用に積和演算回路を集積しているのか、積和演算をCPUで行うマイコン方式を使っているのか明らかではない。クラウド上で学習したデータをコンパイルしてLSIのフォーマットRTLに変換することで、学習データをエッジ側でも使えるようにしている。

日本IBMは、AIのデータを企業の複数部門が使えるようにするため、AIの活用を支援するサービスを開始したと5日の日経産業が報じた。これは、AI向けのデータを開発しても、他部門がAIデータを活用しないため、効率が悪いことに注目し、他部門が使えるようにするサービス。AIの特長の一つに「転移学習」という機能がある。これは、ある分野で画像認識したデータが大量にあると、全く別の分野のものを読み込んで学習する場合に、大量のデータを利用することにより、本来学習させるべき画像データがケタ違いに少なくて済むという機能。例えば、自動運転用の人やクルマを判断できる大量の学習データがあれば、ガンを見分けるための医療画像データの学習枚数を大幅に減らすことができる。各部門が作成したデータを元に他の部門でも使えるように効率化するツールを備えているという。

12日の日経地方版では、東京エレクトロンの宮城工場が完成し、新開発棟の竣工式を行ったというニュースが掲載された。このところ、半導体製造装置産業はNANDフラッシュの生産が軌道に乗り、生産量が増えたことから昨年よりも装置需要が減った。このため、装置に導入するロボットを開発・製造している安川電機は、2019年2月期決算の純利益の予想を従来よりも下方修正した(11日の日経)。今回のTELの新工場は、3D-NANDフラッシュ向けエッチング装置ではなく、もっと将来を見た分野の装置を生産するのであろう。

(2018/10/15)

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