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産学や企業同士の連携などコラボの傾向は強まる

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企業と大学の連携、企業同士の連携などエコシステムを構成して次世代技術の開発に取り組む姿勢が鮮明になっている。東北大と東工大がデンソーをはじめとする企業とアニーリングモデルの量子コンピュータを共有して使い、自動運転でIntelが欧米自動車メーカーと共同開発、NECと横浜国大がAIで街づくりなどの動きがある。

東北大学と東京工業大学はデンソーや京セラなどと共同で、次世代の高速コンピュータと期待される量子計算機の利用研究をするコンソーシアムを2019年4月につくる、と7月23日の日本経済新聞が報じた。東北大学は量子アニーリングを使った研究を行っているが、従来のクラウドベースから、リース契約で物理的に設置する方式に変え、東工大や企業などと共同で利用する。コンソーシアムは5年間の予定。デンソーと京セラが参加を決めており、最終的には約20社の参加を見込む。各社は1億円以上の会費を払う。導入するD−Wave社の最新機種は、リース契約で数十億円になる見通しだという。

量子アニーリングは、巡回セールスマン問題のように最適化問題を解くのに向いており、パターン認識が得意な機械学習、ディープラーニングのようなAIとは異なる。3.11東日本大震災を経験した東北大は、最適化問題として土砂崩れなどで道路が遮断された場合に通れる道路を最短時間で通過できるルートを見出すような場合に威力を発揮する。AIではこれまでの経験データを学習しなければ答えを見出せないが、量子アニーリングは経験データが全くない場合に賢く使えるという特長がある。東工大の参加では量子アニーリングを提唱した西森秀稔教授らが中心となる。

ADAS(先進ドライバー支援システム)や自動運転車では、車の前方、周囲の人や車、自転車などとぶつからないことが大前提。このためにカメラだけではなく、レーダーやLidarなどのセンサも使う。カメラには画像をデジタルに変える処理技術、レーダーは直進性のミリ波を送受信する仕組み、Lidarはレーザーの送受信で対象物との距離を測る回路などそれぞれ異なる技術が必要となる。このため、1社だけでは低コストですべての技術をカバーできない。このためのパートナーやエコシステムが欠かせなくなる。

19日の日経は、半導体メーカーがOEMやティア1サプライヤーなどと共同開発する動きを伝えている。Intelはカメラ画像技術を持つMobilEyeを昨年買収、さらに欧州のBMWやFCA(Fiat Chrysler Automobiles)との自動運転システムの共同開発を発表した後、日産自動車やBMWなどとも共同で自動運転用の高精度地図を構築するプロジェクトを発表した。Nvidiaは、トヨタ自動車と提携しているが、この7月にはDaimlerとBoschが開発中の完全自動運転車に同社の半導体が採用されたと発表した。

大規模集客施設やイベント会場の周辺地域における混雑時の安全・安心の確保に加え、居住者や来訪者の円滑な移動を実現する街づくりをNECと横浜国立大学が共同開発する、と17日の日刊工業新聞が報じた。まず、26日に横浜市港北区の新横浜公園一帯で開催される「新横浜花火大会2018」で周辺エリアの混雑状況を可視化する実証実験を行う。NECは、あるエリアに設置したカメラ画像内の滞在人数や方向別の通過人数を定量的に把握する。横浜国大はスマートフォンやタブレットなどWi-Fi設定をオンにしている端末数をセンサで測定し、その人数を把握する。さらに両者の取り組みを組み合わせ、混雑状況を推定し、警備本部に設置したタブレット端末や周辺のデジタルサイネージにリアルタイムで表示するとしている。

三菱電機、ファナック、DMG森精機の3社は、IoTを使い工場の稼働データを管理するシステムの相互乗り入れで連携する、と18日の日経が伝えた。ファナックが構想してCisco Systems、Rockwell Automation、プリファード・ネットワークス、NTTグループと共に昨年10月にサービスを開始したFIELD system、昨年11月にアドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機が幹事会社となって設立したEdgecross(エッジクロス)コンソーシアム、共に数十を超えるパートナーから成り立ち、両コンソーシアムの連携が望まれていた。

(2018/07/23)

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