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投資が相次ぐパワー半導体と関連産業

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今年も半導体は二桁成長が続きそうだ。先週は半導体産業の好調さを伝えるニュースが相次いだ。NANDフラッシュメモリ事業を手放した東芝は、パワートランジスタとLiイオンバッテリに投資することを発表、日新電機はタイとベトナムでの半導体製造装置の請負工場に投資、台湾のGlobal Wafersも480億円の投資を検討している。先端半導体では2nm品を2025年までに揃えるとTSMCは発表した。

東芝が300億円を投じパワー半導体の生産能力を5割増強すると7月2日の日本経済新聞が伝えた。三菱電機や富士電機も生産設備の増強を予定している。東芝は加賀エレクトロニクスを中心に姫路工場とタイの組み立て工場を強化するとしている。2020年度にパワー半導体の生産能力を17年度比50%増にする。国内最大手の三菱電機は熊本県と中国にある主力工場を中心に100億円を投資、22年度までにパワーデバイス事業で2000億円の売り上げを目指す。富士電機も今年度中に200億円を投じて国内工場を増強する。17年度に新型パワー半導体の量産体制を整えたばかりだが、パワー半導体の売り上げを23年度には現在の1.5倍となる1500億円へと引き上げる。

日本のパワー半導体メーカーはやっと投資に踏み切ったが、パワー半導体で世界トップのInfineon Technologiesは、この5月にすでにオーストリアのフィラッハに300mmのパワー半導体工場を新設することを発表している。2019年上半期に新工場の建設を始め、2021年に生産を開始する計画だ。6年間で16億ユーロ(約2000億円)を投資し、総建設面積は6万平方メートルになる。

こういったパワー半導体メーカーが投資に踏み込むのは、EV(電気自動車)市場の拡大と工業用IoTやFA(ファクトリオートメーション)のデジタルトランスフォーメーションにより、モータ制御用のパワー半導体の市場が拡大するからだ。これらの市場はこれまでの工業用半導体の成長速度とは異なり、2020年代に渡り成長のエンジンとなる。EVに必要なバッテリチャージャーやインバータ、DC-DCコンバータなどの回路全てにパワートランジスタを使うほか、燃料電池車でさえ回生ブレーキなどのマイルドハイブリッド回路にもモータを使うため、どの道パワー半導体が必要になる。また、モータを使う新しい応用ではインバータ利用が増えていくため、パワー半導体市場はこれまでとは違うスピードで成長していくだろう。

東芝は安全性の高いリチウムイオン電池である「SCiB」電池に50億円をようやく投資、新潟県柏崎工場でセル数に換算して月産100万個を150億個に増産する、と6月26日の日経が報じた。自動車向けのバッテリとして見込むようだ。既にスズキの小型車や東京地下鉄の車両に供給しているという。

半導体製造装置の受託生産能力を倍増させる日新電機は、タイに新工場を建設し、ベトナムに最新の加工設備を導入したと26日の日経産業新聞が報じた。総投資額は8億3000万円。Global Wafersの定時株主総会で、投資はまだ決定していないとしつつも実現する可能性は極めて高いと同社トップの徐秀蘭董事長が語っている。

リソグラフィメーカーのキヤノンは、2018年1〜3月期の連結決算で半導体製造装置は前年同期比2.5倍の27台出荷したと29日の日刊工業新聞が報じた。18年全体では前年比1.8倍の126台を見込んでいる。

半導体ファウンドリ最大手のTSMCの創業者であり会長でもあり6月に引退したMorris Chang氏は、3nm品は2年以内に開発でき、2nm品も2025年までには世に問えるだろうと語ったと26日の日経産業が報じた。半導体の微細化を促進するデバイスは、今はアプリケーションプロセッサになり、現在最先端の7nm品は、今秋Appleが発売すると予想されている新型iPhoneに使われるとみている。

(2018/07/02)

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