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企業連携によりIoTシステム導入事例が続出

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IoTやAIで企業同士の提携が目立つ1週間だった。IoTもAIもそれだけでビジネスにできる仕組みではない。互いに関連する技術であることに加え、企業同士も互いに組むことで技術を補完しあう。自前でクラウドを作り管理し、IoTデータの収集・管理・分析を行い可視化したり、さらにフィードフォワード制御したりするのは難しくなっており、共同開発は当たり前になりつつある。

6月13日の日本経済新聞は「日本IBM、IoTサービスで安川電機と協力」、という見出しの記事を掲載した。日本IBMがデータ収集・分析サービスと、安川電機の工場では工場ロボットなどの稼働状況を可視化するソフトと連携して、分析したデータをわかりやすくする。目的は設備の故障を防ぐためだ。具体的にIBMが始めるのは「CFCアナリシスプラットフォーム」をはじめ、安川の工場で集まったデータをもとに設備故障がどのような条件で発生するのか、などをクラウド上で分析する。分析した結果を安川のITシステムに配信する。

日立製作所は、板金加工用の機械を製造販売しているアマダと共同で、工場の生産性向上やサプライチェーンの最適化するためのシステムを構築する、と13日の日経産業新聞が伝えた。アマダの富士宮工場に、IoTシステムを導入し生産状況を可視化する。日立はIoTプラットフォーム「Lumada」を工場に導入し各工程のデータを分析し生産管理などに生かす。具体的には画像解析システムを利用して、作業者の逸脱動作や設備の不具合を検知し、不良品の発生を防ぐことを想定する。

新幹線の鉄の台車に亀裂が入った事故が3月に起きたが、電車の車両の不具合は大きな事故につながる恐れがある。走行車両を常時監視するIoTを設置して故障の予兆を検知するシステムを東京メトロと東京急行電鉄が導入し始めたと15日の日刊工業新聞が報じた。東京メトロは2019年投入の新型車両に走行中の状態を知るための遠隔監視留守システムを搭載し、東急電鉄は、新型車両と指令所の間に高速データ通信環境を整える、としている。東京メトロ丸の内線の新型車両「2000系」で、車両情報管理装置を刷新し、常時監視できるシステム「N-TIS」を導入する。ここにはデータ量を減らすためエッジコンピューティング機能も持たせるという。東急は、田園都市線で3月に営業運転を始めた新型車両「2020系」に、次世代車両制御システムを搭載しているが、データを受け取る地上側の体制がまた出来ていない。18年度にWiMAXによる通信ネットワークを構築する。

海外でもIoTシステムでの企業協調が進んでいると12日の日経が報じた。AWS(Amazon Web Service)やMicrosoftがそれぞれ開発センターを台湾に開設した。AWSは台北に隣接する新北市に「Joint Innovation Center」と呼ぶ開発拠点、Microsoftは今春、台北市に「AI研究センター」を設置した。AmazonとMicrosoftは、クラウドでそれぞれAWSとMS Azureとして競合状態にあるが、AIスピーカー(デジタル・インテリジェント・アシスタント)に使う音声認識システム「Alexa」、「Cortana」を互いに連動できるようなシステムを共同で開発するため連携したという。

残念ながら日本企業は自前主義からなかなか抜け出せないでいる。パナソニックはIoTやAIを導入した次世代住宅を発売すると、14日の日刊工業が報じた。カメラを使ってたくさんの人や性別を判定したり、映像データのメタデータにテキストを付与してマーケティングに活かしたりするシステム「PaN・Vieureka」や、高齢者向けのケアプランを作成したり介護記録をつけたりする自立支援プラットフォームサービスを目指す。さらにBlu-rayディスクを100年保存するための後方互換性を必ず取り込み、100年後でも読み出せるコールドデータセンターサービス事業を進めていく。自前主義だが、データサイエンティストの会社ARIMOを買収し手に入れている。

(2018/06/18)

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