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AIに力を入れる日本の電機メーカー

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半導体の新しい応用としてAI(人工知能)が世界中で開発が進められている。特に中国でのベンチャー企業の資金調達額が急増している、と2月23日の日本経済新聞が報じた。もちろんAIプロセッサの開発が活発。AIを使った応用が日本からも様々登場しており、AIを活用するデータの取得に欠かせないセンサに力を注ぐ企業の報道もある。

AI関連企業による2017年の世界資金調達額で、中国が米国を抜き全体152億ドルに内、48%を占めることがVC(Venture capital)や起業関連の米調査会社CB Insightsの調べでわかったという。米国は38%だった。中国は2016年には11.6%しかなく、2017年に急増したことを示している。中国各社は政府が支援する顔認証技術やAIプロセッサの開発に力を入れる。

現在開発されているAIには教師あり学習のアルゴリズムが多く、教師となる答えと比べて正解か誤りかを決定し、多数のデータを積み上げていくことで学習する。このため、1回で学習が完了することは少ない。経験的に積み上げることで経験者との連携を高めながら、学習した「知識」を習得する。例えば、故障予知と言っても何を故障と定義するかによって、正常値を異常と判断することもある。ただし、間違った答えも学習させ次の判断に生かすことができる。

NECは運営するデータセンターの監視・管理にAIを活用し、設備の故障予知や不審者の監視、入退出管理などの仕組みをデータセンターに導入する。これまでの人手による監視作業などを補完し、不審者の見逃しを防ぐ。ここでの経験を蓄積し、国内外の企業の需要を取り込むとしている。NECは全社的に顔認証システムに力を入れており、入場者の不審な挙動を検知する。例えば、自社のサーバ以外のエリアに入ったら監視センターに知らせる。また、データセンター内の電気・空調設備の稼働データをAIに学習させておき、予め設定したしきい値を超えたら、故障の予知と判断して管理者に通知する。間違いデータもAIシステムに取り込めば学習精度は高まっていく。

パナソニックは、要介護認定を受けた人に最適なリハビリ計画を立案するサービスを始める、と21日の日経が報じた。要介護度が改善すれば厚生労働省から事業者に報酬が加算されるため、適切なリハビリ計画作りが求められる。パナソニックは、高齢者などの睡眠パターンや行動内容がどう変わるのかをセンサを通じて記録し、データの特長を解析、要介護度を改善するための適切なリハビリ計画をAIが自動で組み立てるという。行動を検出するのは、電波で呼吸の様子を調べるセンサや人感センサ。ただし、AIが具体的に何をどう学習するのか、どのようなしきい値を使うのかについては報じていない。

村田製作所は、CEATEC 2017で見せた場の雰囲気を学習するAI「NAONA」(参考資料1:セミコンポータルで既報)を2018年に商品化すると23日の日経が報じた。これは、職場や公共スペースなど人が集うところでの雰囲気や盛り上がり、人の親密度などをAIで分析、可視化するシステム。人の集まる場所にマイクを設置、その音声データを、通信機を通してサーバに送る。拾うべき音声には人の会話などから音量や高さ、長さなどの信号を読み取ってデータ化するという。システム導入費用は検討中だが数十万円とシステム専門会社よりも安価に設定する。

AIの学習に使われるディープラーニングの超並列演算と同様の量子コンピュータの登場は、これまでの素因数分解を利用する暗号鍵の解読が短時間で行えることになるため、より強力な暗号鍵を解くための新しい暗号技術の選定を米国政府が進めていると26日の日経が報じた。新しい暗号技術の条件として、10の80乗回以上の計算が必要だとしている。この計算だと、現在最高性能のスーパーコンピュータでも10の50乗年以上かかるという。候補として選定された69の技術には日本のKDDI総合研究所、情報通信研究機構、東芝が残った。

AIでのデータ解析やIoTなどにはセンサが欠かせない。TDKはもともとフェライトの得意な製品技術を持ち磁気センサが得意な企業。加速度やジャイロなどMEMSに強いInvenSenseと(参考資料2)、ベルギーのファブレス半導体のIC Senseを買収、さらに自動車向けのホールICや信号処理ICに強いスイスのMicronasと、MEMSセンサメーカーのフランスのTronics Microsystemsを2016年に買収しており、センサの製品ポートフォリオを揃えた。TDK本部組織に100名の営業部隊を集約し新たな顧客開拓を進める、と23日の日経産業新聞が報じた。2021年3月期に18年3月期見込の2.5倍となる2000億円に増やす計画だという。

参考資料
1. AIをもっと身近に−CEATEC 2017 (2) (2017/10/12)
2. TDKがInvenSenseを買収する理由(わけ) (2016/12/22)

(2018/02/26)

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