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AIの民主化が進む

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AIの民主化を進める動きが先週、新聞で紹介されている。AI(Artificial Intelligence:人工知能)の民主化とは、AI技術を誰にでも使えるようにするための仕組みや考え方である。Googleだけではなく、MicrosoftやIntelなどもこの言葉を使う。また、2017年第4四半期の業績発表も多い。2017年はやはりメモリバブルだといえる。

Googleは、誰もが自分独自の機械学習モデルを作れるような支援ツール「Cloud AutoML」をリリースした(参考資料1)。従来ならAI機械学習で学習させるためのモデルを開発できる専門家が少なく、誰でも簡単に作れるわけではなかった。このため、AIの知識のある専門家は引っ張りだこで、米国では若い人でも年収2000万円以上で迎えられていたといわれている。Cloud AutoMLは、AIの専門家でさえ、先端的な新分野でのモデル生成をもっと生産性高く作れ、またAIのスキルが劣るエンジニアではこれまで作れなかったパワフルなAIシステムを作成できるようになるという。

今回リリースしたのは、Cloud AutoML Visionという画像認識向けの機械学習モデルを独自に速くカスタム化するためのツールである。ドラグアンドドロップ方式のインタフェースなので、画像を簡単にアップロードし、モデルを学習し管理できるという。ユーザーはGoogle Cloud上でモデルを直接学習する。一般的な機械学習のAPIよりも画像を正確に分類できるようになるとしている。1月18日に報じた日本経済新聞によると、17日朝(発表当日)から一部顧客を対象にサービスを始めたという。

Google以外でもMicrosoftやAWS(Amazon Web Service)などクラウド企業が積極的にAIを誰でもが使える環境にしようとAIの民主化に取り組んでいる。AIの応用分野がIBMのワトソンにみられるような創薬開発だけではなく、小売業、IoTと絡む業態、クルマなどさまざまな業界に適用できる技術だけに、AIの活用を広げることで民主化を促進していこうという訳だ。

音声認識にAI(機械学習)を利用するケースがAppleの「Siri」を手始めに、Amazonの「Alexa」やGoogleの「Google Assistant」を使ったスピーカーが続々登場しているが、クルマでもこれらの音声認識技術を使う動きが出てきた。トヨタ自動車がAlexaを搭載した新型車を北米国際自動車ショーで発表したと17日の日経が報じた。トヨタは18年春にもAlexaを搭載する上級セダンを発売するという。これらの音声認識はSiriと同様、クラウドコンピュータで音声認識処理を行い、その結果だけをクルマに戻してくる。レイテンシが無視できないほど遅いため、レストランやパーキング、ガソリンスタンドなどの情報検索など、非ミッションクリティカルな用途で使うものとみられる。

また、16日の日経によると、Googleは中国でAIの研究開発拠点を開設することを発表したが、8年前に中国市場から撤退した。今回は再参入することになる。検索サービスはまだ利用できないが、地図サービスのGoogle Mapの提供を再開したという。中国では百度(バイドゥ)という国内の検索サイトが巨大になったため、今回の再参入は、Googleの脅威よりも同社が持つAI技術を中国で利用する方が得策と、中国政府が判断したものとみられる。

15日の日経は、日本のプリファード・ネットワークス社を紹介し、機械学習の元となるニューラルネットワークを構成するためのフレームワーク「Chainer(チェイナー)」を開発したいきさつを掲載している。Googleのフレームワーク「TensorFlow(テンソルフロー)」よりも早く一般のAI開発者に公開し、使えるようにしたという。これもある意味では、AIの民主化につながる。

業績発表では、台湾のTSMCは売上額が前年比3%増の9774億台湾ドル(約3兆6000億円)、純利益が3431億台湾ドル(約1兆2900億円)と前期比3%増えた、と19日の日経が報じた。また、半導体リソグラフィ装置のトップASMLは2017年の売上額が33%増の90億5300万ユーロ(約1兆2200億円)、純利益は44%増の21億1900万ユーロだった、と18日の日経が報じた。メモリ向けの売上額は倍増したという。またDRAMの南亜科技は売上高が549億台湾ドルと32%増加したと発表している。要は、メモリを手掛けたメーカーの伸びが著しく、TSMCのようにメモリを全く手掛けていない企業は3%増程度にとどまっている。2017年はメモリバブルだったことを示している。

参考資料
1. Cloud AutoML: Making AI Accessible to Every Business, Google (2018/01/17)

(2018/01/22)

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