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グローバルなコラボの提携相次ぐ

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自社だけで開発せず、得意な企業と提携や買収により共同開発のニュースがやはり増えている。ルネサスはインドのクルマ大手Mahindraと提携、パナソニックはシリコンバレーに30名規模の家電・住宅向け新組織「パナソニックβ」を設立、ドイツのロボットメーカーKukaを買収した中国の美的集団の元で、ロボット生産工場の生産能力を拡大する。

ルネサスエレクトロニクスは、インドのクルマ大手Mahindra & Mahindra社と電気自動車のレース、フォーミュラEで技術提携すると11月30日発表した。両者は、レーシングカーと量産車のPoC(Proof of Concept:実証)開発を含め、インドなどの新興市場向けのEVやパワートレイン、ADASなどの開発に向ける。Mahindraは自社開発したEV技術を持ち、ルネサスは先端的な自動車技術「Renesas Autonomy」を持つ。また今年のCESではルネサスがカナダのWaterloo大学やTTTechなどと共同で自動運転車を走らせた実績もある。インド政府は2030年までに全EV車の方針を打ち出しており、ルネサスはインドのEV市場を早くから狙っておこうという考えだ。直近では、2018年12月に開催されるフォーミュラEシーズン5に共同開発の成果を示す計画だ。

パナソニックが米シリコンバレーに若手技術者やデザイナーら約30人の新組織を設置するのは、従来の量産志向の考え方を変えるため。従来は、綿密な計画書をもとに製品を量産する手法を使ってきたが、これからは少量の試作品を短期間で市場に出す仕組みに変える。独SAPの日本法人から今春にパナソニックに転じた馬場渉氏は説明会で、「パナソニックのように歴史のある大きい会社は、事業横断の実効性を阻害する要因がある。それを取りのぞかないといけない」と述べていると30日の日経産業新聞は報じた。イノベーションを生むための「デザイン思考」をベースに、新たな開発プロセスの確立を目指すとしている。

ドイツの最大手ロボットメーカーKukaは、中国の家電メーカー美的集団に買収されたが、中国で2工場を新設し、2019年末までに中国での生産能力を現在の4倍に拡大する、と12月1日の日本経済新聞が報じた。中国の一人っ子政策によって人件費の高騰や、生業増強化によって中国工場でのロボット需要が増えていることに答えるもの。Kukaが美的集団の買収提案を受け入れる条件として、2023年末まで経営の独立を維持することになっているという。

Appleは、シリコンファウンドリのTSMCとの関係を強化する、と12月1日の日経が報じた。Appleは半導体回路の自社開発を進めており、グラフィックスIPでImagination Technologies、電源用ICでDialog Semiconductorからそれぞれ購入してきた。しかしグラフィックス回路と電源回路を自社開発する方針を打ち立て、両社を切っていくことを明らかにした。とはいえ、AppleはあくまでもファブレスゆえにTSMCへのファウンドリを利用することには変わりはない。Samsungとはスマートフォンでライバル関係にあり、訴訟合戦も展開してきたため、Samsungをファウンドリとして使うことはもう二度とないだろう。TSMCから見るとAppleへ納める製品が増えた格好になり、Apple との関係が強化されることになる。

富士通が、パターン認識や巡回セールスマン問題などAIと同様、超並列処理演算が得意な量子コンピュータのソフト会社であるカナダの1Qビット社に20億円弱を出資した、と29日の日経が伝えた。株式の持ち分比率は9.3%で、事業会社としては筆頭株主となる。すでに5月から提携はしていたが、今回は一段と踏み込む形となる。富士通は、量子アニーリング動作を行う、CMOS SoCを開発しているが、局所最適から全体最適に落とすためのアニーリングにソフトウエアアルゴリズムが重要な役割を果たす。

グローバルな提携ではないが、ICTのNECと、自動車のティア1メーカーのデンソーが車載用通信機器の開発で合弁会社を設立したと発表した。出資比率は、デンソーが51%、NECの小会社NECプラットフォームズが49%で、NEC玉川事業所に合弁会社の本社を置く。名称は株式会社デンソーネクスト。メーターやヘッドアップディスプレイ、車載通信機などを開発する。これからのメーターは液晶ディスプレイを使ったダッシュボードや半透明のヘッドアップディスプレイが搭載され、しかもインターネットやセルラーとつながるコネクテッドカーになる。NECとクルマのデンソーの提携は時代を反映している。

また、時代を反映して、通信業者のソフトバンクと、建築設計の日建設計が提携するというニュースもあった。27日に流されたニュースリリースによると、IoTやロボットを活用したスマートビルディングの設計開発などを共同で手掛けるとしている。ビル内外の人流れをIoTセンサなどで検出、データの見える化などで働く場所の最適化を進めたり、センサデータの解析により消費電力量の削減だけでなく、設備管理、清掃、警備などのライフサイクルコストを総合的に最適化したりするソリューションの開発を目指す。

(2017/12/04)

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