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TSMC vs. Samsungの競争激化

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台湾勢と韓国Samsungのニュースが多い1週間だった。6月9日の日本経済新聞は台湾TSMCと韓国Samsungのライバル争いについて記事を掲載、NANDフラッシュでSamsungが中国工場に1兆円を投資するなどの動きも目に付く。

9日の日経が伝えたのは、7nmプロセスを巡るSamsungとTSMCの争い。Samsungは米テキサス州オースチンにファウンドリ工場を持っているが、ここに昨年秋から10億ドルを追加投資してきた。SamsungはAppleのiPhone 8向けとみられる新型アプリケーションプロセッサA11の製造で、TSMCにさらわれた。にもかかわらず追加投資に踏み切るのは、Qualcommの新型Snapdragon 835を受注できたからだ。これまでSnapdragonはTSMCのプロセスで作られてきたが、10nmプロセスを使うため、10nmではSamsungが一歩リードしていたことでSnapdragonを受注できた。

しかも、Snapdragonの持つ潜在需要は今後広がっていくとみられている。スマートフォンだけではなく、Windows 10のモバイルパソコンにも搭載されることが最近決まったためだ。Snapdragon 835はARMv8-Aのアーキテクチャを使っており、これまでの×86アーキテクチャではないパソコンが久しぶりに市場に出てくるようになる。Intelの牙城であったモバイルパソコン領域を崩す格好だ。

TSMCはA11プロセッサを量産する上に、NvidiaのGPU(グラフィックスプロセッサ)も量産している。今後のAI向けのGPUは超並列なマッシブコアを並べており、Nvidia の存在感はTSMCにとって強い味方となっている。また、Samsungがファウンドリ事業を強化するときにTSMCからエンジニアを大量に奪われたという被害者意識も、両社の競争・対立に拍車をかけているとみられる。

日経によると、Samsungは2018年前半にEUVリソグラフィを使った7nm品の量産を開始し、TSMCも2018年前半から7nm品を量産し、EUVリソグラフィは翌19年から導入する予定だとしている。最初から7nmでのEUVはリスクが伴うため、TSMCの方が着実なロードマップである。しかし、量産歩留まりを確保できる方が勝ちなので、どちらが優れているとはまだ言えない段階だ。

9日の日経産業新聞は、Samsungが中国の西安工場に3D-NANDを生産するため、2019年までの3年間で段階的に1兆円を投資すると報じた。NANDフラッシュの生産能力を月産22万枚に上げるとしている。このSamsungの投資は東芝に差をつけるためと見られており、東芝が内部事情でもたつく間に大投資を行い、圧倒的な差を広げようとみることはごく自然である。すでにSamsungは東芝に対して差を広げている。2社の市場シェアは、2016年第3四半期に16.8%ポイントの差であったが、同年第4四半期には18.8%ポイントの差に広がっている(参考資料1)。

Samsungの攻勢はスマホにまで及んでおり、日本向けのGalaxy Feelを6月中旬に投入する、と7日の日経が伝えた。そのデビュー前に、東京渋谷-原宿間にある「ギャラクシースタジオ」でヘッドマウントディスプレイを装着しVR(仮想現実)を活用したアトラクションを無料で体験できる。これまでSamsungのスマホは日本以外では圧倒的な存在感を示すが、日本では上位5位にも入らない。新型Galaxyで日本市場に攻勢をかける。

台湾のOSAT(後工程とテストの請負業者)トップのASEと第3位のSPILとの合併に関して中国商務省が独占禁止法に基づく審査機関を延長したことが判明したと8日の日経が報じた。元々SPILはASEからの買収提案に反発して、中国資本を導入しようとした経緯がある。台湾の民主進歩党の蔡英文政権が生まれたことで、中国がSPIL買収を断念した。今回の措置は、この意趣返しではないかとの見方は強い。

参考資料
1. NANDフラッシュ、Samsungが差を広げ、Micronが追いかける (2017/03/08)

(2017/06/12)

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