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IoTはAIとセットになる

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半導体業界では次世代技術としてIoTだけに焦点が当たっているが、IoTはデバイス単独では発展しないビジネス。AI(人工知能)や5Gなどの新技術で大きく成長する。データ解析ツールとしてAIはIoTとセットだ。さらにビジネスモデルさえ変わる。先週はこのトレンドを示すニュースが相次いだ。日経は東芝メモリの株式譲渡についても連日報道している。

まずITに強い人を採用することによってパナソニックは今後の成長を進めていく。まずIoTとAI技術を活用することによって、これまでのモノづくり&販売だけのビジネスからサービスも含めた新しいビジネスモデルまで追求するための新事業モデルを創出する方針を明らかにした、と4月20日の日刊工業新聞が報じた。

同社は2月28日に代表取締役・取締役に関する人事を発表し、元日本マイクロソフトの社長であった樋口泰行氏を代表取締役専務役員、およびコネクテッドソリューションズ社社長に任命した。さらにSAPジャパンでCIOを務めた馬場渉氏をビジネスイノベーション本部の副本部長に迎えた。

パナソニックはAIの人材を現在の100人から5年以内に1000人規模に増強するとしている。これは外部だけではなく、内部のデジタル系技術者をAI分野にシフトさせることでAIビジネスへの移行を早めるという。また、社内に人材育成プログラムを新設し、社内の起業家を育成する方針。

アルプス電気は、宮城県大崎市にある北原工場の隣接地にヘルスケアやIoT、スマートフォンや車載などの製品を生産する工場を建設する。投資額は100億円。新工場の敷地面積は4万8000平方メートルで、従業員数は1000人を予定する。既存の北原工場が4800平方メートルしかないため、国内の生産工場としても最大クラスになるという。次世代基幹工場という位置づけだとしている。

リコーは自社のビジネスプロセスを改善するためビッグデータやAIの活用を最大にする、と21日の日刊工業が伝えた。同社は複写機の故障予兆診断システムを2013年に稼働させており、予防措置を打てるようになったため復旧時間を短縮でき、サポートのあり方が激変したという。さらに顧客ごとに最適な買い替え時期を算出するシステムの運用も開始、これによって本当に買いたい時期にタイムリーに商品を提案できるようになった。このシステムでは、顧客の業界動向や複合機の利用状況、景気動向などのビッグデータを解析している。この複写機事業の業務改善を全社的に広げていく。今後もカギを握るのは解析システムや運用方法を開発する人材。そのためにAIを含めた最先端の統計解析技術を持ち、人材を育成する。

AIへのシフトは急だ。富士通はAIシステム「Zinrai(じんらい)」を構築、サービスを提供しており、現在、画像認識や音声処理など30種類のAIを顧客企業が利用できるようになっている。用途に応じてもっと多くの種類のAIも求められるようになってきたため、富士通はベンチャー企業のグリッドと提携し、グリッドの持つAIのフレームワーク(開発ツール)「リノーム」を使ってより手軽にAIを開発できる体制を整える。

行政もIoTの活用に向け、知的財産に関する法制度の見直しが必要だとする報告書を経済産業省と特許庁の有識者検討会がまとめた。IoTを利用するさまざまなサービスが生まれており、従来の知財法では想定していない事項があるため、見直しが必要としている。データの売買時におけるセキュリティの確保や、通信特許などでパテントトロールなどの業者から守るための裁定制度を新設することも盛り込んだ。IoTとデータを活用したビジネス特許も保護できるように審査体制の見直しも提言しているという。経産省は、IoTの分野の一つ、インダストリ4.0や「中国製造2025」、フランスの「Industry of the Future」などに対抗して、「コネクテッド・インダストリーズ」というコンセプトを打ち出した、と日刊工業が18日に報じた。コンセプトはどの国も同じだ。

東芝メモリの株式売買に関して、Western Digital社が9日付けで送った意見書を巡り日本経済新聞が21日、22日と連日報道している。東芝は四日市工場を、Western Digitalが買収する前のSan Diskと共同運営してきた。事前の話合いなしにどちらか一方が株式を第三者へ譲渡することは契約上できない、としている。共同で運営する企業や工場ではほぼ常識的な内容だ。今回は、東芝側が事前の通告をしていなかったように日経は伝えている。22日の日経は米国のファンドであるKKRと日本の産業革新機構も共同で応札すると伝えている。東芝メモリの株式譲渡は予断を許さない。

(2017/04/24)

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