セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

IoT導入事例が着実に増える

|

IoTは、あらゆる分野に浸透する。先週はコマツのドローン、栗田工業の水管理、Kukaのロボットなどに加え、IoTからのデータを解析するAIに関しても富士通研究所が漢字認識を高速にするためのアルゴリズムを開発、などのニュースが目立った。東芝メモリは、株式の50%を売る方針を明らかにした。

2月27日の日経産業新聞は、コマツがドローンによる自動測量サービスを自社の建設機械ユーザーに提供すると報じた。このサービスによって、非熟練者でも熟練オペレータ並みの工事の完成度を可能にするとしている。自動測量データを建機内のコンピュータに入れ、最適な建機操作を提供することになる。

同紙はまた、宅配便のヤマトホールディングスが今月から3Dプリンタを使った製品の製造と配送を行う事業を報じている。大規模物流拠点の羽田クロノゲート内に粉末プラスチックを積層するタイプの3Dプリンタを導入、外反母趾などによる足の変形を矯正するための治療用中敷きインソールや、患者の骨の形を再現した医学模型のオーダーメイド生産を引き受ける。医学模型は病院から画像データを送ってもらい、その形の骨の模型を3Dプリンタで作って病院に送り返す。今後、生産中止部品の製造などにも3Dプリンタを生かしていきたいとしている。

水処理大手の栗田工業は、米国のベンチャー、Apanaに出資した。ApanaはIoTを使って水量や水質を管理し、無駄を省き最適できれいな水を提供するシステム会社。顧客の水処理の状況をセンサで把握し、薬品量の調整など顧客ごとにオーダーメイドでサービス提案ができる。栗田工業は半導体用の超純水を14年供給してきたが、その間に故障からの復旧事例などの膨大なデータを蓄積している。処理装置単体では競合他社と差別化しにくいが、データを元にサービスを最適化できる強みを生かしていくとしている。

ドイツのKukaの日本法人、クーカロボティクスジャパンは、電機メーカーや電子部品業者などに産業用ロボットを販売する専任者集団を設置したと日経産業が伝えた。Kukaのロボットは、自律走行型の台車を備えた複合機や、人と協調するロボットなどの品ぞろえを持つ。自律型というキーワードはIoTそのものと言える。半導体のクリーンルームのような特殊な環境での導入法も提案している。欧州では、半導体クリーンルーム内で使ってきた実績がある。Kukaは中国の家電大手、美的集団に買収されたが、2023年まではKukaの経営には介入しないという。

富士通はAI技術(Zinrai:ジンライ)を持つ。富士通研究所の中国拠点である富士通研究開発中心はディープラーニング用のデータ数を大幅に減らす技術を開発した、と24日の日刊工業新聞が報じた。二つの認識エンジンを組み合わせ、実際に中国古文書の文字認識に使ったところ、教師データを70%削減できたとしている。より少ないデータ量で学習できれば学習時間が短縮でき、より実用に近づく。Zinraiは、文字認識だけではなく画像認識も可能。人の流れを分析し、イベント終了後の人の集中を避けるためレストランや他の催し物を提案するシステムも開発している。

東芝は、NANDフラッシュメモリを開発・生産する新会社の分社化について、その進展状況を24日に発表している。20日に設立した承継会社である東芝メモリ株式会社が、NANDフラッシュの業務を継承・吸収することから、吸収分割承継会社となる。ここが普通株式を2000株発行する。同社はすでに1000株を保持している。つまり、50%の株式を外部に売るという訳だ。2017年3月30日幕張メッセで開かれる臨時株主総会で最終的に承認される見込みだ。4月1日から事業会社となり、資本金は100億円になる。本社は東芝と同じ港区芝浦1-1-1のビルに入る。

(2017/02/27)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.