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システム企業が見る2017年

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新年あけましておめでとうございます。
2017年の年頭の挨拶がIoT、AI(人工知能)を推進するハイテク企業から発表された。代表例としてソフトバンクグループ、KDDI、日本IBMを紹介しよう。全て従来の事業を強みにして成長分野へ拡張していくことを目指している。

ソフトバンクは、代表の孫正義氏の名前で年頭所感をプレスリリースとして配布している。ここで、「それは長年の悲願でもあり、シンギュラリティを迎える世界へ向けて重要な一手でもある英国のARMの買収です。(中略) シンギュラリティを迎えれば、ビッグデータなどの分析により人間の知性では思いもつかなかったアイデアや知恵が生み出され、いずれ人類に貢献する『超知性』も誕生することになるでしょう」と述べている。つまり単なるIoT端末を目的にARMを買収したのではなく、クラウド、データセンターを含むIoTシステムを推進するためであり、昨年報告(参考資料1)したとおりである。

ソフトバンクの目指すのは単なる通信業者ではない。昨年12月には衛星インターネットを使って全ての人類にブロードバンドインターネット提供を目指すOneWeb社にQualcommらと共に出資を発表した。中国のアリババグループによるアジアへ展開するEコマース事業、ペッパーに代表されるスマートロボット事業、さらに配車やライドシェアのGrabを活用した事業、など最新のテクノロジーを使ったビジネスを展開している。さらにベンチャーファンド会社の設立も予定している。こういった様々な事業に共通するのは「情報革命で人びとを幸せに」という経営理念だ。ソフトバンクは今年も、「最新テクノロジーと革新的なビジネスモデルで情報革命をけん引し」続けていく。

KDDIは、今年のテーマを「変革」を加速することだとして、事業面では「ライフデザイン企業」への変革、運営面では「働き方の変革」を進める、という目標を掲げている。昨年発表した中期計画の三つの事業戦略である「au経済圏の拡大・グローバル事業の積極展開・国内通信事業の持続的成長」を今年はスピードアップを図り、中期計画で目指す「ライフデザイン企業」に向けた変革を加速させていくとしている。

同社代表取締役社長の田中幸司氏は、1月4日の年頭あいさつの中で、今年1年、社員に求める心構えを三つ述べている;「顧客の体験価値(CX)の向上を全ての基本とする」「自らが変革を実行する」「高い目標を設定してチャレンジする」。KDDIにおける競争力の源泉は人材であり、「会社としても、長時間労働の撲滅を断行し、社内風土改革に取り組んでいく」と日本企業らしいコメントを述べている。

これに対し、日本IBMは、「AIをトリガーに事業変革を」と題した年頭あいさつを発表した。2016年を「英国のEU離脱や米国大統領選に代表されるように、事前の予想と異なる結果がもたらされた年でした。これらの出来事から、従来の観測や予測の手法を進化させる必要性を実感するとともに、世界中の人々の変化や変革に対する期待の高まりを感じた年でした」と回顧している。

このため、「2017年はAIへの取り組みが大きく広がることによって期待が実感へと変わる年になる」として、AIをトリガーとした事業変革へ取り組んでいくことが成長のカギとなると指摘する。

ただ、IBMはこれまでAIという言葉を使ってこなかった。コグニティブコンピューティングと呼ぶことにこだわっていた。人口知能というと、労働者の職を奪い、人類が滅亡される、といった誤った認識を持たれる恐れがあるからだ、とあるIBMのエンジニアはかつて筆者に語っていた。

ところが、今回初めてAIという言葉を使ったが、それはArtificial Intelligenceではなく、「Augmented Intelligence(拡張知能)」だと定義している。すなわち、AIは人間の知識を拡張し増強するものという再定義である。IBMのコグニティブコンピュータであるWatsonは、45ヵ国以上で、20以上の業界の顧客ビジネスで活用されており、日本でも100社以上の顧客と取り組みを進めているとしている。

参考資料
1. モバイルからサーバ・スパコンにも拡大するARM、ソフトバンクが後押し

(2017/01/05)

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