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AIへの投資が活発に、富士通はAI専用半導体を開発へ

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IoTシステムとAI(人工知能)はセットで使われ、語られることが多くなりつつある。日立製作所がオーストラリアでIoTやAIを積極的に活用、同国の売り上げを伸ばす方針を発表した。富士通は、AI専用の半導体を開発すると日本経済新聞が報じた。AIはIoTのデータ解析にも使われるが、IoTプラットフォームを汎用クラウドに載せる動きも活発だ。

日立製作所は、2020年度までにオーストラリアで1000億円を投資、同国での売り上げを2015年の3倍にあたる3000億円に拡大する計画を発表した。現状では同国における売り上げの8割が鉱山機械関係を占めているが、同社のIoTやAI技術を活用し、鉄道システムやヘルスケア、セキュリティ、農業などの分野に事業を拡大する方針。今年6月にシドニーに設けた研究開発拠点を核に事業を展開していくという。

富士通は、同社独自のAI「Zinrai」を使ったAPIを提供することを29日に発表し、さらにディープラーニングの計算を高速に実行するAI専用の半導体を開発する、と11月30日、日本経済新聞が報じた。ディープラーニングではニューラルネットワークのモデルを使うことが多く、これまではNvidiaのGPU(グラフィックスプロセッサユニット)で積和演算を行っていた。ニューロンに入る多くのデータにおいて、各データと学習の重みとの掛け算を大量のデータに渡って足していくという作業である。この学習させる積和演算にGPUを使う。しかし、GPUの消費電力は100Wを超え、極めて高い。このため専用のAIチップを開発するという訳だ。ちなみにグーグルが検索用エンジンに使うAI専用チップTPU(Tensor Processing Unit)は、内部アーキテクチャによって、8ビットや16ビット演算も使うことで消費電力を従来の同社の半導体よりも1/10に削減しているようだ。富士通の半導体DLU(Deep Learning Unit)は消費電力当たりの性能を10倍に高め、2018年の出荷を目指す。

29日の日経は、日本の電機大手8社がAIのR&D投資に今後3年間で3000億円投資すると報じた。中でも富士通は2018年度までに最大1000億円の投資規模になる可能性があるという。同社はAIの研究者やシステム構築者を18年度までの3年間で500億円、と15年度までの3年間の投資額の3倍に増やすとしている。基礎研究を含め1000億円になる可能性があるとしている。世界のAI事業ではIBMがワトソンを使い、2015年12月期ですでに178億ドル(約2兆円)の売り上げを稼いでいる。NECはAIを使った顔認証技術で世界的にビジネスを展開しているが、日本勢は特定分野で勝負すると日経は報じている。

IoTシステムのPaaS(Platform as a Service)ビジネスも活発になっている。ドイツのSiemensは、MicrosoftとIoTプラットフォームで提携する、と29日の日経産業新聞が報じた。Siemensが工場のセンサからの情報を集め、分析、予防保全やエネルギー管理などを行うIoTプラットフォームソフトウエア「MindSphere」を持っているが、このソフトウエアをMicrosoftのクラウドプラットフォームAzure上で使えるようにする。GEもやはり工場からのデータを収集、解析、管理を行うIoTプラットフォーム「Predix」を持っているが、やはりMicrosoftのAzure上で使えるようにしている。

台湾のファブレスMediaTekがスマートフォン以外の分野として車載用半導体を強化する、と11月30日の日本経済新聞が報じた。今後5年間で車載を含めた新分野の半導体開発に2000億台湾元(約7000億円強)を投じるとしている。車載用とはいってもこれまでのアプリケーションプロセッサやモデム、CD-ROMドライブなどの技術を生かし、インフォテインメントや無線通信など情報系の車載システムを狙う。制御系ではない。

(2016/12/05)

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