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AIはIoTとセットで市場拡大へ

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人工知能(AI:Artificial Intelligence)がIoTとセットで市場を拡大していくことになりそうだ。nVidiaはファナックと共同で自律ロボットを開発する、と発表した。Googleはハードに注力すると述べ、SamsungはAI利用の音声認識ソフトウェアのベンチャーを買収するなど、AIに向けた動きが活発だ。AIはIoTシステムともに使われそうだ。

nVidiaの最新情報は後日掲載するが、同社は産業用ロボットメーカーのファナックと共同でAIを使ったロボットを目指す。nVidiaはグラフィックス専用のIC(GPU)に特化したファブレス半導体メーカー。これまでグラフィックス(画像を作図する技術)を利用してゲームやコンピュータビジョンといった美しさを競う作図の世界に注力してきた。GPUは作図して色を塗り画像に仕上げるための専用プロセッサ。絵を書くことが仕事であるが、デッサンのようにトライアングルベースで作図するよりも色を塗る作業が今は最も大変。画像メモリとプロセッサとのやり取りで、同じような色を取ってきてキャンバスに張り付けるという作業の繰り返しが多い。ということは、似たようなジョブを並列に動作させるという仕事に向いている。つまり、並列処理プロセッサとしてコンピュータサーバやスーパーコンピュータにも搭載されている。このため、nVidiaのGPUはゲーム以外にもハイエンドコンピュータに使われてきた。

この用途がAIにも拡大する。AIのニューラルネットワークでは、学習という過程を通る。学習は、多数のニューロンの出力データに重みを掛け、それらを足し合わせて、その結果を次のニューロンに入力する。この積和演算をGPUで計算させようという訳だ。また、推論も行う。ここでも学習した多数のパターンとの比較マッチング・判定という過程のアルゴリズムで同様な演算を行う。AIは、パターン入力→学習→推論→判断というサイクルを何度も繰り返すことで正解に近づいていくコンピュータアーキテクチャである。

ロボットに学習する能力を身に着けさせれば、工場の生産性が高まり、作業者の熟練度が向上していくことと同じ効果が得られることになる。ファナックとnVidiaとの提携は、工場の生産性をロボットのAI化によって上げていくことを目指す。学習や推論のアルゴリズムを作り、修正していく作業もAIに任せることで、ロボットは自律的に賢くなっていく可能性がある。nVidiaのCEOであるJen-Hsun Huang氏は、同社が主催したコンファレンスGTCの基調講演で「ロボットにAIを搭載し、AIによってロボットのプログラミングを自分で学習できるようにしたい」と述べている。

Googleは自社の新製品発表会で、スマートフォンを中心とするハードウエア事業に力を入れ、AIを搭載したスマホや家庭用スピーカーなどを発表した、と10月7日の日本経済新聞が報じた。Googleは、スマホについて従来、NEXTという仕様を公開、スマホメーカーにライセンス供与、製造させていた。今回は自社のブランド「Pixel」のスマホを売り出す。ここにコンテキストアウエアネス機能「Google Assistant」を搭載するようだ。もともとGoogleの検索エンジンは膨大なデータベースを利用するマシンラーニング手法を用いたもので、AIは得意な技術である。

Samsungが買収したベンチャーVivは、かつてのAppleのクラウド利用音声認識技術「Siri」の開発メンバーが創立した会社。音声認識にAIを利用するようだ。

IoTの概念は広く、スマホやセンサ端末だけではなく、ロボットやクルマまで含める考えもある。ロボットやクルマを賢くして、複雑な演算はクラウドで行うという考えもIoTシステムに含めている。IoTシステムでは、AIはビッグデータ解析に使われていくことは間違いないが、IoTそのものを賢くする用途にも使われていきそうだ。

IoT端末では、アルプス電気がさまざまなセンサを接続できる拡張可能なIoT端末を開発したと7日の日経産業新聞が報じた。拡張用のコネクタとフラッシュメモリカードを接続できる。標準的な温度と湿度、気圧、照度、加速度、地磁気のセンサを搭載、さらに特殊なセンサは接続できるようにモジュールに拡張端子を設けた。

CEATECでは数年前から半導体企業の展示が減少し、電子部品メーカーのソリューションが目に付くようになった。6日の日刊工業新聞は、アルプス電気や村田製作所、ローム、TDK、太陽誘電などの電子部品を紹介した。CEATECは4年ぶりに出展社が前年比22%増の648社、来場者も同9.1%増の14万5180人に増えた。

(2016/10/11)

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