Appleが2018年のiPhoneに有機ELを採用

日経によると、有機ELを搭載するiPhoneは3年後に発売する計画だとしている。Appleは、iPhoneやiPadなどの自社製品に使っている部品メーカーを決して公表しない。部品メーカーもAppleと契約する際、公表しないことを約束させられている。しかし、部品メーカーの将来計画からは推定できる。

翌27日の日経は、韓国のLGディスプレーがスマートフォン用の中小型有機ELパネルの新工場を韓国内に建設する、と伝えた。投資額は数年間で1兆円を超える見通しで、26日の取締役会で増産投資が承認されたという。LGは大型のテレビ用有機ELパネルを生産している唯一の会社。これに対して有機EL量産実績のあるSamsungは、スマホ用中小型パネルに集中している。

有機ELパネルはまだ寿命の問題が解決しておらず、特に青色材料の劣化をどうカバーするかが問われている。LGは青色のカラーフィルタを用いることで解決しようとしている、と24日の日経産業新聞は報じている。テレビは長寿命、スマホは3〜4年の短い寿命が要求されるため、スマホの方が生産は易しい。有機ELテレビはソニーをはじめ国産勢が撤退し、韓国のSamsungも諦めた。しかしSamsungは中小型パネル市場で生産を継続しているため、大量生産していない日本勢よりは生産技術的に有利である。

ただし、SamsungはAppleとスマホビジネスにおいて訴訟合戦を展開していた。2014年夏に、米国以外の国での訴訟を採り下げることで合意したが、AppleにとってSamsungは敵であり、できるものなら使いたくない。最近のiPhoneにはアプリケーションプロセッサのように設計に数年かかるような部品以外のコモディティ製品（液晶パネルやメモリなど）は全て非Samsung製品で固められている。

このため、日本のジャパンディスプレイ（JDI）にもビジネスチャンスが訪れている。30日の日刊工業新聞は、JDIがスマホ向けの有機ELパネルの量産を2018年春に始めると報じた。石川県の石川工場に試作ラインを整備して技術を確立し、その後国内に量産ラインを構築するという。同紙によると、来週にもJDI幹部がApple本社に赴き有機ELパネルの量産計画を伝え、受注交渉を始めるとする。ただし、日本勢はこれまでの有機ELの試作は続けてきたが、生産実績がないため、Appleの理解が得られるかどうかは微妙である。

では、Appleは有機ELパネルをどのように使うのだろうか。Samsungのスマホは従来の液晶パネルを有機ELに置き換えただけの製品だが、有機ELは材料がプラスチックであるため、フレキシブルである。この特徴を生かすのではないだろうか。従来の液晶を置き換えるだけなら、Appleらしくないからだ。Appleらしさなら、例えば、折りたためるタイプのスマホを設計するのではないだろうか。電話機能を失わず、かつファブレット(5〜7インチのスマホ)タイプのディスプレイを持つための新デザインになるはずだ。やはり、あっと驚かす製品ではなければ、Appleの価値はないだろう。

11月25日、東京エレクトロンは長年同社を引っ張ってきた東哲郎氏が代表取締役社長兼CEOを退き、取締役相談役になると発表した。社長に就任するのは、副社長でCOOの河合利樹氏。これまで製造装置をけん引してきたテクノロジーは微細化技術。これからはIoT（Internet of Things）に大きな期待がかかり、微細化の必要ない装置が再び脚光を浴びるようになる。TELはすでにそれに備えた体制を構築した。中古装置を販売・改造する「FS（フィールドソリューション）1部」と、部品交換や保守点検を担う「FS2部」を10月に組織化している。2015年3月期にはこの分野の売り上げは1700億円となっており、2020年3月期には2000億円以上を目指すと、東氏は決算報告会で述べている。

セミコンジャパンを主催するSEMIの見通しでは、200mmウェーハファブの生産能力は、リーマンショック前の2006年に547万枚/月が2012年には510万枚/月と落ちたが、このあとは次第に増えていき、2018年には546万枚/月に戻る。ファウンドリも200mmの生産能力を次第に増やしていくと見ている。