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欧米のクルマ部品・電子機器メーカーが横浜に続々集結

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欧米のクルマ部品やエレクトロニクスメーカーが横浜拠点を強化する。日本企業とのコラボレーションやサプライチェーンなどのつながりを強めたいためだ。部品・装置の商社やデザインセンターの機能を持つイノテックがカメラモジュールの自社開発事業を始めるというニュースもあった。この1週間のキーワードはコラボレーションである。

欧米のクルマ部品メーカーのドイツのSchaefflerやBoschが横浜の拠点を拡充する、と4月22日の日本経済新聞が報じた。欧米の自動車部品メーカーにとって、製造は東南アジアだが、開発は日本が担う。教育を受けた人材が確保でき、材料メーカーや上流のサプライチェーンが日本ほど充実した国はそうないからだ。Schaefflerは日本法人を強化する方針で、5月に移転する横浜市内の新本社の床面積は現在の2.4倍、人員も20年までに500人規模へ倍増させるとしている。日本を開発拠点にして、タイにある日本の自動車メーカー工場に向けた部品工場をタイに設立する。Boschは、リーマンショックで埼玉県と群馬県の工場を閉鎖したが、横浜の開発拠点を拡充中だ。自動車シート大手のJohnson Controlsは2013年に38億円を投じて、横浜の開発拠点を刷新、衝突試験など開発に必要な設備を整えた。

横浜に開発拠点を設けるのは自動車部品企業だけではない。スマートフォンのAppleは横浜市綱島にあったパナソニックの工場跡地に研究開発拠点を2016年に開設する予定であり、通信機器の華為技術も2013年に横浜駅近くに研究開発拠点を移転した。

開発工程では、次世代製品の開発に必要な部品調達が開発で極めて大きな意味を持つようになってきた。今やイノベーションは、突拍子もない発見や発明から生まれるものではなく、インテグレーションの中に生まれる時代だからである。欧米には、「Innovation is in integration」という言葉が登場している。

コラボレーションの実例として、21日の日経産業新聞にはロームがFreescale Semiconductorのi.MX 6 SoloLite向けに電源用IC(PMIC)を供給する。アプリケーションプロセッサのような高性能・高機能チップでは、消費電力の削減が不可欠。プロセッサの動作状況に合わせて、電源電圧をこまめに調整することで、消費電力を削減する。ロームのPMICによってプロセッサの動作モードをモニターしながら電圧をわずかな単位で変えていく。このPMICを使うことで、消費電力は45%削減され、電力効率は82%以上に高まったとしている。

Qualcommがチップの製造を従来のTSMCからSamsungに移行するというニュースもあった。これもファブレスとファウンドリのコラボの実例の一つだ。23日の日経が報じた記事だが、デザインルールは書かれていない。おそらく16nmノードであろう。20nmまではTSMCが絶対的な実績を上げてきたが、直近の16/14nmではSamsungのプロセスが最初に立ち上がっているという「うわさ話」も多いからだ。QualcommがSamsungに移すといううわさはこれまでもあったが、この記事の信ぴょう性に関しては今一つわからない。

半導体組み込みシステム商社のイノテックは、自社ブランドのカメラモジュールを販売する、と24日の日経産業が報じた。カメラモジュールには画像処理チップとそれを組み込むアルゴリズムを搭載している。このソフトウエア技術は、2012年に買収した画像処理システム会社Regulusのアルゴリズムを利用したようだ。モジュールビジネスはサプライチェーン、カスタマまでのコラボレーションが欠かせない。

つくばのナノテク研究拠点であるTIA-nanoでさえも、民間企業とのコラボレーションを積極的に進めるようにしていく。2015年度からの5ヵ年計画で、企業が産総研などに共同研究や設備利用を申し込む窓口を1本化し、利用しやすくするという。また、共同研究で生まれた成果を事業化する橋渡し役も果たす。優れた成果をすくいあげ、金融機関や投資会社に紹介して起業を促すとしている。

携帯電話ビジネスでは、NECが2017年以降を目指し従来型の通称「ガラケー」から完全撤退すると24日の日経が報じた。ガラケーのOSではソフト開発が負担になってきたため、標準のAndroidに絞る。端末のOSをAndroidに統一することで、多くのソフト開発メーカーを利用できる。スマートフォン用は言うまでもないが、ガラケー向けでさえ、そのOSにはAndroidを利用する。

(2015/04/27)

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