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3D-NANDの製品発表相次ぐ

先週末、東芝が3D-NANDの製品を発表した翌日にMicron TechnologyとIntelのグループからも3D-NANDの発表があった。3D-NANDは3D-ICとは違い、モノリシックのSi内に縦方向にメモリを直列接続した構造で、リソグラフィを多少緩くしても容量を上げられる。ただし、2グループの間で、3次元と言ってもメモリセル構造に大きな差があった。

東芝は3月26日、3D-NANDフラッシュのサンプル出荷を始めたと発表、その翌朝Micron TechnologyとIntelも3D-NANDを限定ユーザーにサンプル出荷したことを明らかにした。国内の新聞では日経が27日に報じたが、Micron/Intelグループについては報じていない。ニュースは東芝が発表したことで、Micron/Intelグループも慌てて発表したとみられる。

東芝のメモリは、セミコンポータルですでに報道したように(参考資料1)、48層の128Gビット製品で、Micron/Intelグループは32層の256Gビット(2ビット/セル)と384Gビット(3ビット/セル)製品であり、標準パッケージに収まるとしている。

東芝の48層のNANDフラッシュでは、同社が開発したBiCS(Bit Cost Scaling)技術を使っているという。2007年にVLSI Symposiumで同社が発表してから8年後の製品化となる。ここでは、縦型にMOSFETを直列接続する構造を採り、メモリセルにMNOS構造(垂直のシリコンが酸化膜、窒化膜にグルっと囲まれているので、正確にはSONOS構造になる)を採っている。

一方のMicron/Intelグループは、MNOS構造ではなく、従来のポリシリコンのフローティングゲートを利用しているとしている。2013年に最初に製品化したSamsungも、MNOS構造を採っている。Micron/Intelグループのニュースリリースによると、これまでのプレーナ型NANDフラッシュで実績があるからだとしている。さらに、フローティングゲート技術はカギとなるデザインの選択であり、性能、品質、信頼性を大きく上げることができるとプレスリリースで述べている。

製品計画として、27日の日本経済新聞では東芝が早ければ本年中に量産に入るというが、量産体制を整えるため、四日市工場の新・第2製造棟でも生産すると述べている。一方のMicron/Intelグループは今春の終わりに一般ユーザーへのサンプル出荷を開始、今年の第4四半期までに量産したいとしている。Samsungが2013年の8月に発表しているが、ここにきて3D-NANDの量産を制するメーカーが今後のNANDフラッシュ市場を支配するのかもしれない。

もう一つのニュースとして、富士通研究所がフレキシブル基板に実装したビーコンを開発した、と25日の日経産業新聞が報じた。AppleのiPhoneには標準搭載されているBluetooth LE(Low Energy)を利用するもので、店舗や経路案内の情報を発信するために利用する。ビーコンは常にBluetooth LEの電波を発信しており、Bluetooth LEをオンしているスマホであれば、その情報を受けられる。AppleがiBeaconと呼ぶ機能がまさにそれだ。店舗の特売情報を流したり、レストランの会員を増やしたりするような利用がある。富士通研究所開発したものは厚さ2.5mmでシリコン樹脂のフレキシブル基板に形成しているため、ポスターの上に貼ることもできる。電源にはソーラーを使っているため、室内の明かりでも動作する。16年度の実用化を狙っている。

参考資料
1. 東芝、ついに3D-NANDフラッシュを製品化、BiCSを採用 (2015/03/26)

(2015/03/30)
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