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東芝、SK Hynixと2億7800万ドルで和解

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東芝は、NANDフラッシュメモリ技術の機密情報を不正に取得したとして、韓国のSK Hynixを訴えていた問題で、和解したことを発表した。これは、今年の3月13日にHynixの元従業員が、2008年当時、東芝四日市工場内でサンディスクの従業員として共同開発していた東芝の機密情報を不正に持ち出し、その情報をHynixが使用していた、として提訴していたもの。

このほどの和解によって、東芝はHynixから2億7800万ドル(約332億円)の和解金を受け取る。22日の日経によると、東京地裁で11月に開かれた初弁論ではHynixは東芝の主張に反論して争う姿勢を見せたが一転して和解で幕を閉じる、と報じている。一方で、東芝はHynixとMRAMを共同開発しており、このテーマに関しては提携関係にある。この和解を機に、両社は新たな協業関係の構築を目的に、DRAM供給契約と特許クロスライセンス契約期間の延長、ナノインプリントリソグラフィ技術の共同開発について合意した、とプレスリリースで述べている。

東芝は17日、中期計画で掲げた医療・ヘルスケア事業を強化するため、川崎の小向事業所内にヘルスケアセンターを開所したと発表した。ヘルスケア分野における研究開発費を2016年度には前年度比3割増の500億円を投入し、人員も同2割増の3800名に増やす。ヘルスケアセンターでは、DNAゲノム解析や、生体センサを利用するサービスの開発、次世代センシング技術やビッグデータ解析などを行い、次世代製品やサービスを創出する。

東芝は、東芝メディカルシステムズという医療機器メーカーが製造販売する超音波診断装置やMRI(magnetic resonance imaging)などの画像診断システムの開発計画の中から、このセンターや首都圏の大学・研究機関との連携効果の高いテーマを選定し、早期市場投入を目指した開発を行う、とプレスリリースで述べている。

ニコンも医療分野に興味を持っている。米国のベンチャー企業に10月までに2400万ドルを出資、自社の半導体露光装置を貸し出すなどの支援も行ってきた、と19日の日経産業新聞は伝えている。このベンチャーが開発しているのは「バイオマイクロアレイ」と呼ぶDNAチップ。遺伝子情報を調べ、体質を診断する。ただし、医療・ヘルスケア分野は厚労省の認可、医師の認定が必須であり、通常の電子機器とは全く異なる市場である。このため、東芝のようにもともと医療診断装置を持っている企業は強い。ニコンは厚労省・医師グループとの関係をどう構築するのか、問われている。

医療・ヘルスケアと並んで将来有望な分野がクルマ。ファブレス半導体のザインエレクトロニクスは、車載用の液晶ディスプレイに向けた高速シリアルインタフェースLVDSとの変換IC、V-by-One HSのシリーズを拡充したと発表した。使用温度範囲を、車載用に-40℃〜105℃に広げた。車載用のディスプレイは今後、ダッシュボードパネルやバックミラー、ドアミラーなどにも使われていくため、車載ディスプレイ用ICでが伸びそうだ。

車載エレクトロニクスの最大手、Bosch(ボッシュ)が車載だけではなくIoTセンサにも力を入れている状況を19日の日経産業が報じている。BoschはMEMSセンサのトップ企業だが、クルマではセンサを多用することは自動車エレクトロニクスの基本中の基本。今後はクルマとクルマ、あるいは道路などのインフラとをつなげるコネクテッドカーへと向かう。1年前にBosch Connected Devices and Solutions社を設立した。センサをサービスにどう生かすのかを探っている。

自動車エレクトロニクスにここ数年、力を入れてきた村田製作所は、無線通信用SOS/SOI半導体メーカー、Perigrine Semiconductor(参考資料1)の買収を完了したと発表した。ムラタはRFモジュールを自社で内製化するための部品を全て生産できるようになった。RF無線モジュールは、車載でもヘルスケアでもスマートフォンでも利用するため、ムラタは将来の成長市場を握っているといえよう。

参考資料
1. 新生CMOS on SapphireのRFチップで携帯電話市場のGaAsを置き換えていく (2010/06/30)

(2014/12/22)

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