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シリコンバレーの世代交代と、京都での産学共同

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先週18日、データベースソフトやグループウエアの最大手、米オラクル社は、CEOを37年間務めたラリー・エリソン氏がその座を退き会長兼CTOに就任すると発表した。通信ネットワーク機器大手のシスコシステムズ社で在任20年に近いジョン・チェンバーズ氏がCEOを数年以内に退く意向を示しており、シリコンバレーの世代交代が進んでいる。

オラクルの新しいCEOには、製造・財務・法務を担当するサフラ・キャッツ氏と、営業・サービス・業務別グローバルビジネスユニット部門を担当するマーク・ハード氏の二人が担う。オラクルはニュースリリースを流し、このことを伝えた。

シリコンバレーはかつて半導体開発・製造のメッカとして、開発拠点が集中していた。その半導体の応用がIT/コンピュータやAV機器などの電子機器から、産業機械、自動車、工作機械など産業機器や宇宙航空、医療、農業、白物家電、エネルギーなどありとあらゆる分野に入り込み、現在は半導体応用機器やサービスの一大拠点と変わってきた。インターネットのグーグルやヤフー、モバイルのアップル、電気自動車のテスラモーターズ、フェイスブックなど新しいサービスや産業が集積する。

今や、シリコンバレーでは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏(30歳)やグーグルのラリー・ペイジ氏(41歳)など、若い経営者や起業家が台頭している。パソコン時代「ウィンテル」のマイクロソフトやインテルも2013〜2014年にCEOが交代しており、世代交代が起きている。

ベルギーのIMECとその周辺、英国のブリストルやケンブリッジなど世界のハイテク地域もシリコンバレーをモデルにして半導体開発拠点を築いてきた。日本では京都が日本のシリコンバレーを担う、という記事を22日の日経産業新聞が報じている。京都では京都大学と企業との実用化に向けた共同開発が進み、産学連携の要となっているという。村田製作所は強誘電体のチタン酸バリウム、堀場製作所はpHメータの実用化にそれぞれ京都大学と取り組み、世界的な企業となる礎を築いたと伝えた。パワー半導体の材料であるSiCの実用化では、ロームが京大の松波弘之名誉教授と共同開発しリードしている。

京都の桂キャンパス近くのベンチャー企業育成拠点「京大桂ベンチャープラザ」に入居している36社の内20社が京都大学と組むために全国からやってきたとしている。エアコンのダイキン工業や筆記具のサクラクレパス、パナソニックなどの大企業だけではなく、中小企業も受け入れている。しかし、大学の研究者との接点がないため、「研究者マップ」を作成し、誰がどのような研究をしているのかを一目でわかるようにするという。人的な交流を進めるためのセミナーなどのイベントも隔月で開催されているとする。加えてベンチャーキャピタルとしての「みやこキャピタル」が2013年に発足し、活動を始めたほか、京大が出資するVC「京都大学イノベーションキャピタル」も国の認定を受け、動き出すことが決まった。

19日に日経産業新聞が報じた、村田製作所のエネルギーハーベスティング向け温度差利用の発電デバイス(ゼーベック素子)や、大成建設のコンクリートのひび割れ点検ロボットなどは、IoT(Internet of Things)のワイヤレスセンサーネットワークに使える可能性がある。超音波探傷センサや、IoTセンサの電源となるゼーベック素子とDC-DCコンバータ(数十mVから3.3Vまでの昇圧)の組み合わせなど、半導体製品にとっても今後の成長市場となりうる。

(2014/09/22)

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