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MediaTek好調、APUプロセッサの出荷量前年の4割増になりそう

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スマートフォン用のアプリケーションプロセッサ(APU)やモデム向けのチップを開発している台湾のファブレス、MediaTekが好調だ。2014年における半導体出荷量が前年比4割増になりそうだと5月1日の日本経済新聞が報じている。またLED照明分野における半導体ビジネスもチャンスが多い。

MediaTekが発表した2014年1〜3月期の決算報告によると、スマホ向け半導体チップの出荷数量はこのままいくと年4割のペースで増える見込みになり、2割以上増えるアジアのスマホ市場を上回る、と日経は述べている。スマホ向けのアプリケーションプロセッサは、これまでQualcommやAppleが主導してきた。1〜3月期のMediaTekの売り上げは前年同期比92%増の460億台湾元(1元は3.39円)、純利益は同2.7倍の101億台湾元に伸びた。この伸びの最大の要因は同じく台湾のファブレスM-Starを買収したことによる。同時期におけるM-Starの売り上げは78億台湾元で、純利益は10億台湾元だとしている。MediaTekが狙う市場は中国とインド。低価格のスマホに向けたモデム内蔵アプリケーションプロセッサは、Qualcommの価格の3〜5割安いという。

中国には、大手携帯電話通信業者(キャリヤあるいはオペレータ)として、中国移動通信(チャイナモバイル)、中国聯合通信(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)の3社ある。3G通信方式でこのうち、中国独自方式のTD-SCDMAを採用しているのはチャイナモバイルだけ。後の2社は、W-CDMAとCDMA 2000 1xを主体としている。このため、世界の二つの方式を流用しても中国市場には原理的に入り込めるはず。MediaTekは、これまでも中国市場を中心に出荷してきた。しかし、彼らのチップは、山賽機と呼ばれる偽ブランド携帯電話のメーカーに流れたため、MediaTekのブランドイメージに傷がつき、売り上げも低下した時期があった。そこで、流通管理を見直し、華為技術やZTEなどメジャーな携帯電話メーカーを主要顧客にするようになった。

中国と同様、インドでもMediaTekは躍進していると日経は伝えている。現地のスマホメーカー第2位のMicromax社はMediaTekのアプリケーションプロセッサを使っているとしている。Micromaxはグローバル市場へ進出し始めており、MediaTekのような世界標準チップを採用、しかもQualcommよりも安いことはグローバル化に有利である。アプリケーションプロセッサ市場では、Qualcommの次にAppleやSamsungが強いが、MediaTekはその次に位置している(参考資料1)。

スマホ向けの応用で、ICタグを読み取る装置を付けたアクセサリを、国内メーカーがiPhone向けに開発したというニュースがあった。AppleはNFC Forumにはまだ入っていない。このためNFCのリーダー/ライターあるいはタグとしてiPhoneは使えない。システム開発のアスタリスク社が開発したICタグのリーダーは、iPhone5および5sに装着するアクセサリであり、1メートル離れたICタグを読み取ることができる。iPhoneを使って、製品の物流管理、倉庫内管理などができるようになる。専用端末よりは安い。

スマホ向け半導体をパッケージングするため、長野県の新光電気工業は、例年よりも大幅に多い281億円の設備投資を予定していると、5月1日の日経地方版(長野)が報じた。海外企業を顧客とした半導体を実装する。

LED照明市場がこれからも発展を続けそうだ。これまでの単なる蛍光灯や白熱灯の置き換えだけではなく、明るさを変えられる調光や、色を状況によって変えられる機能もこれから本格化する。センサを組み合わせれば、自動的に明るさや色を調整してビルやオフィスの照明の消費電力を減らすスマートライティングにも使える(参考資料2)。6日の日経産業新聞は、照明ビジネス大手のドイツOsram社CTOのインタビュー記事を掲載している。パートナーとエコシステムを組むことで、モジュラープラットフォームを使い、世界各地の仕様に変えることができる、という旨をCTOのペーター・ライアー氏は述べている。

折しも、Samsungが有機ELテレビの投資を中断するというニュースが6日の日経に掲載された。有機ELに対する期待は大きかったが、テレビ応用はやはり低価格化が難しい。照明応用に関しても有機ELは当分厳しいだろう。これまでの照明市場に関する多くの予測では、LED照明は2015年ごろをピークに有機EL照明に取って代わられ、2016年以降に有機EL時代が来るとしていた。しかし、LED照明時代はずっと長く続き、場合によっては、有機ELは主力にならない恐れもある。LED照明用の半導体ドライバICや調光IC、スマートパワーICなどLED照明向けの半導体は、今後の市場に向けて出番を待っている。蛍光灯では実現できない応用として、スマートライティングへの期待は大きい。

参考資料
1. 世界のプロセッサランキングをIC Insightsが発表、1位はやはりIntel (2014/04/30)
2. LED市場を加速するスマートライティング (2014/03/07)

(2014/05/07)

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