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国内半導体メーカー、積極的な攻めのニュース相次ぐ

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東芝が田中久雄社長自身の判断で重点分野の投資を増やせる仕組みを作る、と4月27日の日本経済新聞が報じた。また半導体専業メーカーの株式上場、富士電機、日立化成の工場拡張、ルネサスのインド販社設立、DRAMの価格上昇など、半導体産業にとって前向きのニュースが相次いだ。

東芝を巡る環境は、半導体ではSamsung、原子力ではAreva、医療ではGeneral Electricなど競争が激化している。このため重点投資を即座に増やせるようにするのが狙いだ。東芝は全社の改善活動プロジェクトを4月から開始、3年間で2000億円以上の資金をねん出する。このうちの1000億円を社長決裁枠として充てるというもの。

半導体産業にとって攻めのニュースが相次いでいる。岡山に製造工場を持つトレックス・セミコンダクターは今月8日、東京証券取引所ジャスダックに上場し、25日に上場記念パーティを行った。トレックスは現在、東京に本社を置く、売上規模90億円程度の中堅半導体メーカー。パワーマネジメントICやMOSFETなど電源周りの中小電流パワー半導体やアナログICを得意とする。

ルネサスが攻めに転じ、インドのバンガロール市にルネサス エレクトロニクス・インド社を設立した。これまでもインド市場で、白物家電や自動車向けマイコンなどを販売してきた(参考資料1)。組み込みシステム開発のインドDelta Embedded Solution社によると、ルネサス・ヨーロッパ社を通じてルネサスのマイコンを知り、評価・入手していたという。ルネサス・インド社の設立でルネサスは、インドの顧客と直接コンタクトをとれるようになり、より広いポートフォリオを提案できるようになる。

パワー半導体では、富士電機が国内3拠点に開発棟を新設すると発表した。発表済みの50億円投資の松本工場に加え、東京工場(日野市)と吹上事業所(埼玉県鴻巣市)にも新設する。投資額は130億円になる。パワー半導体の開発を加速し、インバータシステムの拡大を目指す。ハイブリッド車への納入も拡大するとしている。富士電機の2014年3月期の連結営業利益は前期比5割増の330億円になったもようだと23日の日経は伝えている。

日立化成は、3次元実装などの次世代半導体パッケージ材料の開発期間短縮を目指し、筑波総合研究所内の先端実装技術センターを拡張したと発表した。実装工程設備と評価解析機器を増設したという。この施設をオープンラボとして、顧客と一体になって実装材料の評価・解析を行う。日立化成の持つテストパッケージだけでなく、顧客のパッケージでの実装も評価する。

DRAMのスポット価格が1週間で11%上昇したと24日の日経が報じた。SK Hynixの中国工場での火災から回復し、この4月から火災前の供給量に戻ると見られていたが、回復が遅れているらしい。Hynixの2014年1〜3月の連結決算では純利益が790億円程度と前年同期の4.5倍になったという。MicrosoftによるWindows XPのサポートが終了し、パソコンの買い替え需要と共にDRAMの需要も高まっている。需要の割りに供給が追い付かず、価格上昇になった。

スマートフォンの好調は続いており、スマホ向けアプリケーションプロセッサの製造を担当するTSMCは、2014年の成長率を1月時点での10%から14%に上方修正した。半導体業界全体の成長率も1月時点での5%から7%になりそうだと見ている。台湾には製造を請け負う企業(EMS企業)が多く、電子製品の1〜3月の受注額は前年同期比8.9%増だという。例えば、EMS企業世界1位の鴻海精密工業は中国工場(Foxconn)でAppleのiPhoneやiPadなどを製造している。台湾の好景気はスマホがけん引している。


参考資料
1. 日本の電機メーカーのデザインをサポートしたい (2013/05/15)

(2014/04/28)

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