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攻めに転じる半導体業界

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米国では、AMDやTI(Texas Instruments)の収益構造が改善、エルピーダはDRAMに800億円を投資する計画を発表、東芝は米OCZ Technology社のSSD事業買収を完了した。ソニーはインドの特許業務委託大手Evalueserveとの合弁会社を設立、欧米への特許出願を促進する。

1月23日の日経産業新聞によると、米国AMDは黒字に転換した。ゲーム機用の画像処理LSIが好調なためと伝えている。ファブレスのAMDはこれまでパソコンやサーバー向けのマイクロプロセッサを中心に販売してきたが、パソコン産業に陰りが見えてきたため、組み込みシステムへ舵を切り続けてきた。ゲーム機にはマイクロプロセッサやGPUが欠かせず、AMDは両プロセッサを集積しているアプリケーションプロセッサAPUへも手を広げてきた。ようやく奏功したものといえる。2013年10~12月期決算では売り上げが前年同期比38%増の15億8900万ドル、最終損益は8900万ドルの黒字になったという。ソニーやMicrosoftのゲーム機向けAPUやGPUが貢献したようだ。

TIは同年10~12月期の決算では、売り上げが前年同期比2%増の30億2800万ドル、純利益は94%増の5億1100万ドルになり、11四半期ぶりに増収増益に転じたとしている。TIが急成長したのは携帯電話大手だったノキアのベースバンドICを獲得できたためだが、ノキアの没落とともにTIも減収減益の道をたどった。このため脱ノキア戦略で携帯電話用のOMAPプロセッサの一般売りを中止、本来強いアナログに経営資源を集中させた。とはいえ、TIはもともと営業利益率が3割、4割の優良企業。今回、減収減益に歯止めがかかったとはいえ、赤字には転落していない。早め早めに手を打つことで、今回でも17%近い利益率を確保している。

エルピーダメモリは、3年ぶりに投資を再開する。22日の日本経済新聞によると、800億円を投資、スマートフォン向けのDRAMを2割増産する。エルピーダを買収したMicron Technologyは、14年8月期に前期2倍の31億ドルの設備投資を行う。このうちの約半分を日本と台湾の工場に投資するとしている。これにより20nmプロセスのDRAMを生産する。DRAMは32ビットシステムの拡大により64ビット組み込みシステムの展開が遅れていた。このため64ビットDRAM需要がパソコン用途だけにとどまっていた。AppleがiPhone 5Sで64ビットプロセッサを採用し、スマホやタブレットにも64ビットシステムが入り始める。DRAMはもはや、アドレス空間の制限を受けなくなるため、高集積化が進むであろう。

東芝は、SSD(半導体ディスクドライブ)事業を強化するため進めていたOCZ社の買収を完了した、と22日発表した。東芝のNANDフラッシュをSSDに搭載し、OCZの強いリテールやデータセンターのストレージ市場を強化する。東芝はその前日も、米国のNimble Storageの日本市場での総代理店契約を結んだと発表した。NimbleのHDDでは、NANDフラッシュをストレージのキャッシュとして使っているため、東芝のNANDフラッシュ部門にとっても大きなカスタマになりうる。NANDフラッシュを搭載するHDDはパソコンからストレージへと広がっている。

ソニーが設立するインドとの合弁会社は「アイピーバリューサーブ」という名称で、2月中旬をメドに設立する。人件費の安いインドで特許書類を作製、米国での出願費用を最大半減させる。出資比率は、イーバリューサーブ日本法人が55%、ソニーは10%、はづき国際特許事務所四谷オフィスが35%という。ソニーに限らず日本企業が国内で出願した特許を米国向けに出願する業務を請け負う。

オランダのASMLの10~12月期の決算は、前年同期比81%増の10億4800ユーロと四半期最高の売り上げを達成した。純利益も同61%増の4億8100万ユーロとなった。スマホ用アプリケーションプロセッサ向けの28nmリソグラフィが堅調で、20nm用の増強投資も始まったとしている。

ルネサスエレクトロニクスは、これまでの顧客の言いなりに製品を供給し続けるのではなく、製品供給の保証年数を明示することを決めた。約5000品目を対象とする。

(2014/01/27)

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