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台湾好調、国内にも明るい話題、パナが世界初のHDMI2.0チップを商品化

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台湾が好調だ。2013年における半導体関連産業の売り上げが過去最高で、前年比14%増の1兆7577億台湾元(5兆8700億円)になるという見通しを台湾のIT系シンクタンクが発表したと日経産業新聞が18日に伝えた。国内ではパナソニックが世界で最初のHDMI2.0準拠の通信LSIを商品化した。米国ではTexas Instruments社がコイルを利用するセンサの信号処理回路を発表した。

台湾の見通しを発表したIII(情報通信工業会)のMIC(Market Intelligence Center)は、半官半民の組織ながら、市場調査レポートやソフトウエア開発なども手掛けている。今回の発表では、スマホ向けの受注が好調で、全体の4割を占める受託生産の伸びが前年比17%増の7246億台湾元だという。TSMCがけん引する。これに対して、設計・開発業は9%増だとしている。こちらはMediaTekが躍進している。

韓国SK Hynixの中国工場の火事により、DRAMスポット価格が上昇した。同社は9月4日火事に合い、これまで生産が止まっていた。操業開始は10月からだとしているが、当分は品不足になる。17日のDDR3 2Gビット品の単価は2.10ドルで、火災発生前よりも3割高いと18日の日経は伝えている。本格的な回復は年明けというコメントも日経は報じている。

資金繰りに奔走しているシャープが公募増資と第三者割当増資により10月24日までに1665億円を調達すると発表した。第三者割当増資額は175億円。うちマキタが100億円、LIXILが50億円、デンソーが25億円としている。今回の増資により、自己資本比率は6%から10%台に上がるものの、以前として資金繰りは厳しい。

日本の半導体業界に久々に明るい話題として、パナソニックが4Kテレビ規格に適合する高速シリアルインタフェース規格であるHDMI2.0(参考資料1)準拠の通信LSIを世界に先駆けて商品化した。パナソニックはHDMI Forumの設立メンバーであると同時に、今でもHDMI Forumの主力メンバーでもあるため、新規格の標準化に最初から参加できたことが、世界初の商品化にこぎつけられた要因。この新しいHDMI2.0規格はグローバル市場でも当然販売できる。4K放送はまだ始まっていないため、このICは既存のHD画面(1K24/30p)を4K50/60pの高解像度にスケールアップさせる回路と、そのデータを高画質化させるための回路を集積している。このため、4Kの放送やビデオのソースからも映像をそのまま再生できるだけではなく、従来のHD放送を4K並みの解像度で見ることができる。

もう一つ、面白い技術を紹介しよう。TIが開発した信号処理回路は、プリント基板上にコイルを作り、そのインダクタンスを電気的なデジタル信号に変換するというもの。TIは、このIC(製品名「LDC1000」)を、インダクタンス-デジタル・コンバータ(LDC)と呼んでいる。この検出原理は次の通りだ。コイルとコンデンサでできた共振器に交流電流を流し、磁界を発生させる。この交流磁界が対象物(金属などの導電体)に近づくと、対象物の表面でエディ電流(渦電流)を発生するため、インダクタンスが変化する。このことを利用して、距離や位置を検出するというもの。コイルの代わりにバネをセンサとして用いることもできる。この場合は、バネが伸び・縮み・ねじれている様子を検出する。このICからの周波数と共鳴インピーダンスをそれぞれ24ビット、16ビットの分解能で表現することで、デジタル処理が可能になる。TIのMPS430のような低消費電力のマイコンとこのICを使ってデジタル制御することができる。TIはICだけではなく、コイルや回路を設計するためのソフトウエアツールも開発、提供する。具体的にどのような応用でこのICが使われるのかは、まだ明らかではないが、TIはこの非接触センサを使った面白い応用に期待しているようだ。

参考資料
1. 4Kテレビ対応を狙ったHDMI2.0規格が決定 (2013/09/20)

(2013/09/24)

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