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スマホ用電子材料で強い日本の化学・材料メーカー

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NECがスマートフォンの設計製造から撤退を表明し、パナソニックも同様の動きを見せる中、8月31日の日本経済新聞が「日本のスマホ復活への条件」と題した社説を掲載した。部品技術を見直し、まねのできない製品を作ることだとする。クラレ、京セラがその一環となる材料に力を入れている。アドバンテストのSSD検査装置開発のニュースも目を引く。

8月28日の日経は、クラレがスマホ部品向けの液晶ポリマーフィルムの生産能力を現在の2.5倍に当たる年100万平方メートルに引き上げると伝えた。これは、プリント回路基板材料としての液晶ポリマーであり、誘電率が低いためにプリント回路基板上を伝わる高速信号が減衰しにくいという性質を利用するもの。京セラケミカルは、MEMSセンサや水晶発振器、圧力センサなど電子部品の金属キャップを従来のテープからシート状に替えた。これにより、キャップ搭載装置の生産性を上げようという訳だ。

日経の社説は、国内通信会社に依存しない販路、仕組みの必要性も説いている。ただし、これこそ社内改革が必要で、常に通信オペレータの仕様を見てきた携帯電話メーカーの社風を一新しなければ実現できない。アップルは、iPhoneというスマホを開発しただけではなく、通信オペレータまでも自ら選択、さらに通信オペレータの3GやLTEなどのネットワークを利用したApp Storeまでも開設した。アップルやグーグルは今や、OTT(Over The Top)と呼ばれている。つまり、これまで最も上にいた通信オペレータ(Top)のさらに上でサービスを行う業者だという訳だ。NECやパナソニックがOTTの仲間になることは、ビジネスモデルまで考えろ、ということである。彼らには社内改革以上に大きな改革が求められることになる。

スマホやタブレット以外の分野では、アドバンテストがSSD(ソリッドステートドライブ)向けの検査装置を開発したと28日の日経産業新聞が伝えた。SSDは一部のサーバやモバイルパソコンから使われ始めたが、同社は、SSD出荷数量が2012年における4000万台から17年には2億数1000台になると見込んでいる。SSDの中のテストプログラムは各社のSSDによってプロトコルが異なるが、FPGAを使って顧客ごとにファームウエアベースで各社のプロトコルに対応する。SSDはストレージデバイスの本命であり、サーバを中心に高い期待ができると見ている。

JEITAが発表した7月のパソコンの出荷台数が前年同期比4.2%増の79万台と、9ヵ月ぶりに前年同期の台数を上回った。これは、マイクロソフトがWindows XPのサポートを2014年4月に終えることへの備えとして、買い替え需要が伸びたもの。来年の4月までの買い替え需要は続くだろうが、そのあとのパソコン需要はガタンと落ちるだろう。買い替え需要以降の落ち込みはこれまでの通例だ。これを見込んだ半導体生産が求められる。

パナソニックは、運転に必要な情報をクルマのフロントガラスに投影するヘッドアップディスプレイ(HUD)市場に参入する、と27日の日刊工業新聞は報じた。カーナビやオーディオ用を中心にクルマメーカーに提案しているという。HUDはダッシュボードに設置したプロジェクタから映像をフロントガラスに投影する。世界のエレクトロニクスメーカーがすでに試作開発しているが、パナソニックのHUDは他社製品よりも4割小さく、狭いダッシュボードに埋め込むことができるとしている。

三菱電機と富士電機がパワー半導体に力を入れるという記事も先週あった。三菱電機は、高効率のパワー半導体によって省エネを達成する分野、家電やソーラー、鉄道、クルマ、FA(ファクトリオートメーション)、人口衛星、と同社の得意とする分野を狙っている。富士電機は、松本工場の敷地内にSiCを含むパワー半導体の開発拠点の設立に着工すると27日の日経が伝えた。13年度に着工し、投資額は約50億円になる見込み。13年内には、ドイツと台湾にもパワー半導体の開発センターを置くとしている。

(2013/09/02)

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