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日本の半導体製造装置メーカー、世界でも顧客満足度依然として高い

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日本の半導体製造装置メーカーは世界市場で依然、健闘している。VLSI Researchが行った半導体製造・検査装置大手の顧客満足度調査では、日本企業が上位10社中6社を占めている、と6月17日の日経産業新聞が伝えた。先週は、設備関係のニュースが比較的集まっていた。また、NANDフラッシュの新市場SSDは爆発しそうな勢いだ。

日経産業によれば、VLSI Researchと提携するテクノロジー・パートナーズ社が発表した。総合1位は米国の検査装置メーカーTeradyneで、2位アドバンテスト、3位ASML、4位日立ハイテクノロジーズ、5位大日本スクリーン製造という順。以下、6位Applied Materials、7位東京エレクトロン、8位日立国際電気、9位Lam Research、10位ニコン、となり、日本勢の健闘が目立つ。

半導体製造設備は単価が数千万円から数十億円にも及び、設備償却期間について産業界から1年償却の要望が政府に出ていた。これを受けて、経済産業省は2014年度の税制改正において、投資した年度に減価償却費を一括計上できるという新しい税制方針を固めた、と6月14日の日本経済新聞が報じた。従来は、5〜15年かけて減価償却していた。投資した企業は、もし同じ年に利益を多く生み出せた場合に1年で償却を済ませることで、節税できるというメリットがある。ただし、次年度以降の税金は変わらない。経産省は設備投資の活性化策として財務省や与党と調整に入るとしている。

有機ELの製造装置では、カネカは運転コストを低減できる蒸着装置を、子会社のOLED青森に増設する、と発表した。この蒸着装置は、ノズルを1本あるいは数本線状に配置した従来方式ではなく、面状に並べたもの。これによって、ガラス基板面内の蒸着膜厚分布を従来の5%から3%以内に抑えることができた上、材料の使用効率は従来の5%から20%に高まり、高価な有機EL材料の使用量を削減できるようになった。13日の日経産業によると、生産コストを従来に比べて6割削減できるという。カネカは、2010年にOLED青森を100%出資で設立、有機ELパネル生産も試験的に始めた。パネルは照明器具としてカネカが販売する。カネカは、有機ELパネルの価格を現在の1/10に引き下げることを目指しているという。

パワー半導体関係のニュースは2件あった。まず富士電機が松本工場内に33億円を投じてSiCパワー半導体の生産ラインを設け、10月から量産すると11日の日経産業が報じた。SiCパワー半導体の最大の問題はコスト。SiのIGBTよりも数倍~10倍も高い。現在主流の100mmウェーハを150mmに大口径化することでチップコストを下げ、最大3割の製造コスト削減が見込めるとしている。同社は、2009年から産業技術総合研究所と共同でSiCデバイスを開発してきた。自社でのSiC生産ライン新設は今回が初めてだという。松本工場の新ラインは、2015年度までにフル生産、月産1500枚を見込んでいるとしている。

日立製作所は、パワー半導体事業を全額出資の子会社に集約すると発表した。10月1日付けで、製造専門の日立原町電子工業にその事業を引き継ぎ、この子会社を日立パワーデバイス(仮称)に社名変更する。この結果、パワー半導体事業の設計、製造、販売までの一貫体制を構築できるとしている。日立本体や臨海工場の従業員は新会社が引き継ぎ、日立パワーデバイスは1160人になる予定である。

最後のニュースはNANDフラッシュメモリ。11日の日経によると、NANDフラッシュのデータセンター需要が拡大しているという。データセンターではストレージシステムにHDDが大量に使われているが、そのHDDをNANDフラッシュ主体のSSDに置き換えようとしている。従来のHDDはビットコストがNANDフラッシュよりも1/10と安いものの、読み出し・書き込み速度が圧倒的に遅い。

特に、金融取引では1秒未満の単位の速度が要求されるようになってきており、IBMは10億ドルもの資金を投入してSSDの開発を始めている(参考資料1)。SSDは、5月8〜10日に東京ビッグサイトで開催された2013 Japan IT Weekにおいても、バッファローやSwissbitなど既存の大手ストレージメーカーだけではなく、国内の日立ハイテクノロジーズやストレージ・ビジョン、中国Biwin Storage Technology、米Smart Storage Systemsなど各社から展示されており、HDDからSSDへの流れは止められなくなっている。

参考資料
1. IBM、フラッシュストレージの新規開発に10億ドルを投資、東芝はどう出る? (2013/04/17)

(2013/06/17)

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