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International CESからの報道相次ぐが、もはや家電見本市ではない

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新年早々、米国ラスベガスでInternational CESが開かれ、連日新聞やテレビを賑わせた。International CESは以前、国際家電見本市(Consumer Electronics Show)と訳されたが、主催者であるCEA(Consumer Electronics Association)は、家電見本市あるいはConsumer Electronics Showと呼ばないでほしい、と訴えた。もはや家電の展示会ではないからだ。

筆者の元に来るCEAからのニュースリリースによると、正式名称をInternational CESと定めるとある。この展示会は、1年前に報じたように(参考資料1)、もはや家電だけのショーではない。クルマ、ヘルスケア、医療機器、IT、半導体などのメーカーに加え、通信オペレータも出展する総合ICT/エレクトロニクスの展示会となっている。International CESのCにはComputerやCommunicationも含めているようだ。

米国時間1月8日(日本時間は9日)から始まったInternational CESでは、最近は新聞だけではなくテレビでも報道するようになってきており、この展示会からのニュースではまず高精細の4Kテレビが報じられた。これはフルハイビジョンの4倍の解像度を持つ画面のテレビであり、これまでの映像よりもきれいに見える。東芝が58型、65型、84型の液晶テレビ、シャープは60型の液晶テレビ、パナソニックとソニーは56インチの有機ELテレビにおいてそれぞれ4Kを展示した、と9日の日刊工業新聞が報じた。東芝は58型と65型で1インチ当たり1万円を切る価格を想定している、と8日の日本経済新聞が報じた。韓国のLGエレクトロニクスは55型の有機ELテレビを3月に発売するという。

10日の日経はさらに、自動走行技術を搭載したクルマをトヨタが公開、すでに実験を始めたことを伝えた。アウディもネバダ州で実験を始める。加えて、グーグルは無人走行車を試験的に走らせており、5年以内の実用化を目指すとしている。こういった賢いクルマ(スマートカー)を開発する拠点として、フォードはシリコンバレーを選んだ。スマートカー向けの半導体チップについてルネサスが2013年度に衝突防止やスマートカー向けのマイコンの開発を始める、と8日の日経が報じた。

International CESでは、音声認識やジェスチャー認識を利用するユーザーインターフェースがテレビやタブレットにも応用されようとしていることも話題に上った。11日の日経産業によると、サムスン電子のブースでは、「今日放送予定のドキュメンタリー番組は?」と聞けば、テレビが自動的にお勧め番組を表示し、その番号を答えるとそのチャンネルを映したと述べている。LGは、自然な話し口調でも内容を理解する音声認識機能を、13年に米国で発売するテレビに搭載するとしている。タブレットではタッチせずにジェスチャーだけで認識する機能をクアルコムが公開したという。加えて、ソニーは、非接触の無線通信規格であるNFC(near field communication)を利用することにより、スマホをテレビにタッチするだけで、スマホの映像を大画面のテレビでも見られるという展示を行った。NFCはIDやパスワードの入力を省略できる。ソニーはスピーカーや家庭用ストレージなどもNFC対応にし、LGは洗濯機や食器洗い機にNFCリーダーを内蔵するとしている。

国内のスマホメーカーがようやく、販売ランキングのトップにやって来たというニュースもある。電気通信事業者協会がまとめた携帯電話各社の契約数統計によると、2012年12月にシャープとソニーモバイルのスマホがアップルのiPhoneを抑え、1位・2位を独占した、と11日の日経が報じた。シャープのスマホは、消費電力が従来の液晶の1/5と少ない酸化物半導体IGZOを液晶のTFTトランジスタに使ったもの。同社は3月までに国内で出荷する全スマホとタブレットの3〜4割にIGZOトランジスタ液晶を搭載する方針だという。

サムスン電子の2012年における実績が増収増益になった。その売り上げは200兆ウォン(16兆円)、利益が29兆100億ウォン(2兆3200億円)に達したと10日の日経が報じた。スマホのギャラクシーノート2の販売が好調で、さらに半導体部門の業績も改善されたことが大きい。世界500大企業の売り上げランキングでも韓国企業として初めて15位以内に入ったという。

スマホやタブレットだけではなく家庭用の照明や家電製品、冷暖房の温度調節設備などさまざまな機器、器具にWi-Fiが載るようになるが、先週偶然にもテキサスインスツルメンツとSTマイクロエレクトロニクスからそれぞれWi-Fiチップが発売された。特にTIのチップは、ディスプレイを持たない機器にWi-Fi機能を採り入れることが簡単にできるというもので、狙いはIoT(Internet of Things)市場となる。

参考資料
1. 半導体、IPを見ていれば1〜2年後の携帯機器やセットが見えてくる (2012/01/16)

(2013/01/15)

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