セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

未来を信じ、明るい明日を創る知恵を絞りだそう

|

新年、明けましておめでとうございます。今年も会員読者の皆様の参考にしていただけるような記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

さて、1月1日の日本経済新聞の社説のタイトルは、「目標設定で明るい明日を切り開こう」、3日は「富を生む民間の活力を引き出そう」、4日は「産業の新たな担い手を育てたい」、と未来に向けたメッセージで埋め尽くされた。

かつては経済大国になることが国の目標だった。1日の日経によると、1993年には国民一人当たりのGDPは米国に次ぎ2位だったが、2011年には14位に後退したという。これが失われた20年である。セミコンポータルでも、2008年にはシンガポールに抜かれたことを報告した(参考資料1)。

社説や正月特集記事を読む限り、「もはや後ろ向きの過去の栄光は忘れ、未来に向けて新たな気持ちで進んでいこう」、というトーンが多い。失われた20年を30年、40年にしてはならない。そのためには過去の栄光を全て捨て去り、挑戦者として豊かな社会を作り出すための考えに切り替えていくべきだろう。1日から7日までの5回に渡る日経社説の共通テーマは「国力を高める」であった。

明るいニュースは出始めている。米国のSIA(半導体工業会)は、昨年11月の世界半導体売上額は17カ月ぶりに前年同月を上回り2%増の257億3000万ドルになった、と4日発表した。地域別には、北米が9.7%増の50億3000万ドル、アジア太平洋が5.1%増の144億9000万ドルと伸ばしたが、日本は10.8%減の34億1000万ドル、と世界との差が開いた。

日本国内でも新しい動きが出ている。電力用電線や電車など大電力用の絶縁材料である碍子(ガイシ)を製造してきた日本ガイシは、研究開発費を3割増やしGaNウェーハを製造し、それを使ったLEDを生産すると7日の日経が報じた。同社は碍子の技術を活用しセラミック分野へも乗り出してきており、LEDやパワー半導体向けのGaN製造や、燃料電池用のセラミックなど成長産業へ切り替えている。日本の半導体メーカーも半導体を生かした成長分野をもっと開拓すべきだろう。

今日の朝刊では、NTTドコモとKDDIが自社の動画(ビデオ)配信サービスを家庭用のテレビにも拡大する、と日経が1面トップで伝えた。消費者が楽しむテレビとスマホとの垣根はいずれなくなるだろう。国内の民生機器メーカーはテレビ離れを加速しているが、アップルがこれからテレビを発表すると噂されており、テレビは今後スマホと同じ機能を持つようになる。例えば、M2Mのような通信モジュールとハンズフリーBluetooth、CMOSカメラをテレビに搭載すれば、テレビ電話を楽しむことができる。写真やビデオの交換も世界中でできるようになる。民生企業のテレビ離れは正しい方向ではない。テレビはスマホやタブレット、パソコンと同じ家庭用のプラットフォームになる。今はまだスマートテレビというような表現をしているが、いずれ「画面の大きなスマホ」になるだろう。

今年の産業の見通しも日経と日刊工業新聞から発表されている。いずれもパソコン需要は減速するが、スマホとタブレットが市場をけん引すると見ている。スマホとタブレットは依然として今年もけん引役となることは間違いなさそうだ。台湾ではすでにその動きが現れている。5日の日経は、スマホやタブレットの台湾企業は雇用を拡大し始め、パソコンは人員削減が続いている、と報じている。

さらに先の未来に向けて、IBMが触覚と視覚、聴覚、味覚、嗅覚という五つの感覚において、ITで何が実現できるかという予測を発表した。例えば、eコマースでドレスを買う場合に、現在は生地の感触を得られないが、スマホで感触出力装置を実現できれば、これが可能になる。聴覚センサは、地滑り予測を可能にすることに加え、学習効果に基づいて音を分類、解釈すれば周りの雰囲気も理解できるようになるという。昨年の11月に東京で開催されたIMECのセミナーでは、嗅覚センサとそのシステムを開発するという、e-Nose研究が紹介された。

昨年末に発足した安倍政権への期待は大きく、世論調査による内閣支持率も60%を超える好調な出だしだが、経済を活発にする担い手は民間企業であり、買い物をする消費者である。政府が経済を活性化するためにできることは、成長産業への減税や規制緩和などの仕組み作りに限られる。安倍政権は、小泉政権が始めた規制改革会議を復活させ、経済特区を新たに作り成長産業を作り出すための仕掛けを発表している。小泉内閣を引き継いだかつての安倍首相は、郵政民営化反対組を自民党に復活させ、時代を逆行させた。この失敗を反省しているとすれば、新政権はおおいに期待できそうだ。

参考資料
1. シンガポールが日本を抜いた (2008/07/10)

(2013/01/07)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.