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スマホ向け部品は好調、新型タブレットも続出

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先週は、新型タブレットの発表が相次いだ。アップルが画面サイズ7.9インチのiPad miniを発表、電子書籍のアマゾンが日本語対応キンドルを発表した。さらにマイクロソフトはタッチスクリーン対応のWindows 8を発売した。

iPad miniのWi-Fi対応の16GB版モデルの価格は329ドルなのに対して、キンドル・ファイアHDのWi-Fi対応16GB版のそれは199ドルと安い。アマゾンは、キンドル・ファイアのハードウエアで稼ぐのではなく、書籍や音楽のダウンロードなどコンテンツで利益を上げることを重視している。ハードウエア単体ではほぼ原価だと見られている。両者のビジネスモデルが違うことから、ハードウエアにおいて価格差が生まれている。

Windows 8を搭載したタブレット「Surface」の日本での販売にはしばらく時間がかかるとマイクロソフトの幹部が語ったという記事が10月27日の日本経済新聞に掲載されている。アマゾンが日本語対応版を出すのに、初代のキンドルから数えれば5年かかっている。日本と米国の書籍ビジネスの市場が違うことや、日本語化への遅れ、などによってこれほどの時間がかかったが、「Surface」はタブレットそのものであり、日本語化するのに必要な時間だけではないだろうか。日本を素通りするという見方もあるが、いずれ日本でも発売されることになろう。米国のエレクトロニクスメーカーは今でも日本市場に熱い視線を送っているからだ。

タブレット需要がこれから高まっていくだろうが、当面のドライバはスマートフォンである。TDKや京セラなどの電子部品大手6社の7~9月期の受注総額は前年同期比8%増の9200億円強となったと23日の日経は報じた。特にアップルやサムスン電子のスマホ向け部品が2四半期連続でプラス成長だったという。村田製作所のiPhone5向けの通信モジュールは13%増の1700億円、日東電工の液晶パネル偏光板は10%増の1000億円の受注額だとしている。

ただし、テレビやパソコン、ゲーム機などは振るわないようだ。25日の日経は、シャープの4~9月期の連結最終損益は4000億円前後の赤字となったようだと報じた。液晶テレビやパネルの不振に加え、アップルのスマホ向けのパネル生産の稼働が半年ずれ込んだこと、タブレット向けの最新パネルの稼働率が3割と低迷したことなどがその要因だとしている。ビジネス機会を逃すとこれほどの痛手を被るということだろう。

半導体ファウンドリのTSMCは7~9月期決算では、売上額が前年同期比33%増の1414億台湾元(1台湾元=2.7円)で、純利益は同62%増の493億台湾元といずれも過去最高だったと26日の日経は伝えている。TSMCは好調な業績を背景に450mmウェーハやTSVなど3次元実装への投資に加え、台湾北西部の苗栗県に東京ドーム3個分の土地を取得したと29日の日経は報じている。

TSMCの増収増益に引きずられて日立ハイテクノロジーズはSEMやTEMなどの半導体評価装置の販売が好調で、4~9月期の連結純利益が前年同期比41%増の111億円になったと発表した。やはりスマホ用半導体の売り上げも伸びているため、その製造ラインで使う評価装置も調子が良い。

装置メーカーとファブレス半導体メーカーの協業も出てきた。半導体のモールドパッケージを成形する装置メーカーのTOWAが米国のファブレス半導体メーカーと協業する、と29日の日刊工業は報じた。TOWAアメリカにトランスファモールド装置と、コンプレッションモールド装置を1台ずつ設置し、ファブレスメーカーと技術を検証するという。ファブレスメーカーがアセンブリ作業を委託するサブコントラクタにそれらの装置を採用してもらうように働きかけるとしている。TOWAのコンプレッションモールド技術(参考資料1)は樹脂を流し込む時の圧力が小さいため、Low-K材料を使う多層配線チップや細い金ワイヤーのチップを薄型パッケージに封止するのに適している。このため、ファブレスメーカーの狙いは次世代チップ用にコンプレッションモールドを使うのかもしれない。

参考資料
1. 弱いLow-k材料や細い金ワイヤーを守る低応力の新しいモールド技術 (2008/07/14)

(2012/10/29)

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